行財政改革の推進について
令和3年3月9日の一般質問、行財政改革の推進についてです。
喜田健児の問題意識
5か年計画の事業で、1年目、2年目、3年目、4年目、5年目と担当課として描くゴールがあっても、予算的担保がないと事業を進めにくい。予算的担保も含めて、各部局の思いや考えなど様々な視点での予算議論などを通じて新しい事業への挑戦など職員の積極性を引き出し、よりよい取組につなげていく必要があると考えています。この点について県の見解を伺いました。
また、果敢に挑戦できる職員育成の風土づくりのために、どのような対策や手だてに取り組んでいるのかについても併せて伺いました。
実際の質問のやり取り
【質問】
鈴木県政10年目、誰もがその成果を認めるところだと私は思います。ただ、現場は生ものであり、課題が、問題が起こって当たり前です。今回、私が取り上げさせていただく課題、問題は、鈴木県政ならではのものではないかというふうに思います。
このスライドを見てください。(パネルを示す)昨年1月3日の伊勢新聞の記事です。国から県庁に来ているキャリア7人の職員が海住記者と開いた座談会、全員が30代という若さ、仕事への情熱、三重県への熱き思いを語り合った中で、特に私が注目したのは、県庁の常識や雰囲気についてというところです。
財務省に戻った富永さんは、財政課が厳しく査定し過ぎた、予算要求でも新しい事業への挑戦に慎重、積極性をどうやって引き出せば、悩んでいると答え、海住記者は、予算を切るのが財政課のイメージ、引き出すのと再質問をすると、富永さんは、財政課の役割や議論を通じてよりよい取組を引き出していくことと、こんなやり取りが載っています。
後任の石黒財政課長、後ろにいつも座っていただいておりますけれども、同じ意見であることを確認させていただきました。この新旧財政課長さんが言っている部分ですが、計画は5か年なのに予算は単年度、次年度の予算的担保がなされていないから具体的ビジョンが描けない、毎年毎年シーリングのかかる予算査定では規模縮小となる展望しか描けない、財政課を怒らせると来年度予算が切られてしまうのではないかと恐怖心が先行してしまうという声が聞こえています。一部妄想が入っております。すみません。
机上の空論ではいけませんので、みえ県民力ビジョン・第三次行動計画の施策213、多文化共生づくりのところの外国人住民への日本語教室を例にして、具体的に議論させていただきます。
(パネルを示す)このスライドを見てください。計画では、令和2年度は、地域の日本語教育の実態調査と座学での地域コーディネーターの育成をする。令和3年度はさらに、地域日本語教育推進計画によって、地域コーディネーターが実践的な研修を積み、さらなるブラッシュアップを図り、その資質向上に努める。そして、再来年度、令和4年度、いよいよ市町の日本語教育が抱える課題と向き合い、これまでの成果を生かして環境整備等に取り組むとなっていますが、令和4年度の予算的担保がないので、最終的な絵図が描けないということです。それにこそ、職員の積極性を引き出せない最大の要因があるのではないでしょうか。
そこで、紀平総務部長にお伺いします。
るる申し上げましたが、総務部こそが、予算的担保も含めて、各部局の思いや考えなど様々な視点での予算議論などを通じて新しい事業への挑戦など職員の積極性を引き出し、よりよい取組につなげていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
【総務部長答弁】
それでは、予算議論を通じまして、新しい事業への挑戦、そういったものを引き出していく予算議論が必要だということについてお答えをさせていただきたいと思います。
まず、我々が予算議論するときの財政当局の心構えについて、お話をさせていただきたいなというふうに思っております。
事業の要求部局の方々と議論するに当たっては、まず、予算の要求の背景にある社会経済情勢の変化でありますとか、新たな行政課題を適切に捉えまして、要求部局の意図あるいは狙い、これを理解することが重要であると考えております。
その上で、単に要求事業の問題点を指摘するにとどまったり、やみくもに、今おっしゃいましたけれども、要求額を削減しようとするのではなく、それぞれの事業がよりよい取組となるように、要求部局とともに施策をつくり上げていくという姿勢で、建設的な議論を行っていくことが大切であるというふうに考えております。
そのためでございますけれども、令和3年度当初予算編成におきましても、妥当性でありますとか必要性、有効性、効率性、緊要性、この五つの観点から費用対効果を図ることはもとより、要求された事業のみで議論するのではなくて、関連する施策全体から見た当該事業の位置づけ、あるいは次の年度以降の事業展開の考え方なども含めまして、幅広い視野を持ちまして議論をすることで、県民の皆様のニーズに応えた、よりよい施策とできるように取り組んできたところでございます。
また、予算要求に当たりましても、各部局の方々が社会経済情勢の変化、あるいは新たな行政課題に対して機動的かつ弾力的に対応できますよう、政策的経費の一部を特定政策課題枠として別枠で設定したところでございます。
この特定政策課題枠を活用していただきまして各部局から提案を受け、そして知事と部局長の協議等を踏まえて絞り込みを行うことで、部局を越えて全庁的な判断が必要となる新たな注力すべき事業にも限られた財源、これを充当することができたところでございます。
さらには、予算要求の基本的事項といたしまして、新規事業の要求に当たっても、終期設定、今は原則3年としておりますけれども、これを行うことや、3年以上にわたって実施している事業につきましては、事業の成果を十分に検証していただいて見直しを行うことを明記することで、多様化している県民の皆様のニーズに的確に対応しつつ、各部局におきましても、複数年にわたる事業展開を想定した施策構築を促しているところでございます。
本県の財政状況は、もう御存じのとおり、社会保障関係経費が引き続き増加するなど、極めて厳しい財政状況が継続すると見込まれておりまして、本県の財政健全化の道筋、まだ道半ばだというところでございます。
他方、これまでの行財政改革の取組によりまして、経常収支適正度あるいは県債残高の目標を達成するなど、成果も着実に現れてきております。
こうした状況を踏まえまして、引き続き、限られた財源の中にありましても、各部局からいただきました新たな事業に挑戦する予算要求を、要求の考え方を含めまして、より幅広い視点から建設的な議論を行い、各部局とともに施策をつくり上げることで、それぞれの事業の効果を県民の皆様にしっかりお届けできるよう取り組んでまいりたいと考えております。
【質問】
話をしているし、その用意もあるし、幅広い視点で議論を展開していきたいという御答弁ありがとうございます。
私、予算的担保が欲しいとか、シーリングが困るとか、それから財政課を怒らしたらあかん、これは妄想ですけれども、そういう声が表に出るということは、ある意味すごく健全なことだと思うんです。
これが逆に、誰が言ったんや、誰があんなややこしいやつに言ったんやというような圧力がかかるようでは、組織の積極性は腐ると思います。この内部的な危機管理ということに関して、私は危機管理統括監にお聞きしたいところですけれども、通告しておりませんのでやめさせていただきます。そういう部分において、今後、そういう視点、私もしっかりと持ってやっていきたいなと思います。
次に入らせていただきます。
もう一度、この伊勢新聞の記事を見ていただけますでしょうか。(パネルを示す)次に、みんつく予算とは反対のみんやめ予算を提唱している横山さんが、昔からやっている仕事がずっと積み重なっていて、維持したまま新しい仕事が入り込んでくる。なかなか切り込めていないから残業が減らないと言っています。いわゆる選択と集中ができていないということです。
そこで、改めてお聞きします。
果敢に挑戦できる職員育成の風土づくりのために、どのような対策や手だてが必要だとお考えでしょうか。
総務部長は若々しく見えますが、この3月末をもって退職されると聞いています。ある意味キャリアの横山さんのように、何を言ってももう怖くはない。いや、そんなことはないですね。ですが、各部局の積極性が芽生えるような、最後、御答弁を期待させていただきます。よろしくお願いします。
【総務部長答弁】
それでは、果敢に挑戦できる職員の育成と風土づくりが必要であるということについて、どのような取組を行っているかについてお答えさせていただきます。
昨年3月でございますけれども、三重県職員人づくり基本方針というものをつくらせていただきました。
この基本方針の中では、あらゆる場面でも自らで考え、そして未来を切り開くための取組に果敢に挑戦できる職員、そして業務改善の取組に挑戦できる職員であることが重要だということを考えまして、チャレンジということを、職員の基本姿勢の一つとして掲げまして、業務削減あるいは業務改善、人材育成及び制度・仕組みの見直しに今取り組んでいるところでございます。
具体的な取組といたしましては、まず組織面では、課長以上の管理職が作成している組織マネジメントシートというのがございまして、その目標項目の中に、新たに業務削減という項目を追加いたしまして、組織全体で業務削減に取り組んでいるところでございます。
そして、職員面でございますけれども、各それぞれの職員が1年間の目標を定める際に、背伸びをして手を伸ばさないとつかめないような難度の目標を意味する、いわゆるストレッチゴール、これを所属長との面談の中で定めまして、職務遂行を行うことを徹底させていただいております。
そして、その目標達成度合いにつきましては、中間・期末の面接を通じまして進行管理を行っているところでございます。
そして、人事面ですけれども、令和3年度人事異動方針におきまして、管理職への昇任に当たりましては、管理職への意欲と、あるいは危機事案を未然に防ぐ的確な業務管理能力に加えまして、改革・改善に自ら積極的にチャレンジする姿勢、行動をより一層重視するということにしているところでございます。
そして、将来の職員構成を見据えますと、ベテラン層に比べて人数が少ない若手・中堅職員の人材育成、これが肝要であると考えております。
このような中で、昨年度は、若手・中堅職員を中心に構成されましたスマート改革検討チームにおいて提案がなされたところでございます。
そして、提案の中では、自分の力で三重県をもっとすばらしい県にしたいという思い、そして、これまでの仕事のやり方では必ず限界がやってくるという認識、そして、もっと県民のために仕事をしていきたいという強い思いから、スマート改革を進めるに当たりましての現状の課題、あるいは今後の方向性につきまして、業務を担当する当事者の目線から、自由な発想で、かつ実行までを見据えた具体的な提案を行っていただいたところでございます。
また、今年度におきましては、公募によりまして有志の若手、職員20名を対象に、座学とフィールドワークをセットにした実践的教育事業を実施いたしまして、AIなど最新のデジタル技術を活用しました業務の生産性向上、あるいは社会課題の解決を後押しできるスマート人材の育成に努めているところでございます。そして、その成果の一環を、先日、知事に御報告させていただいたところでございます。
このほか、県土整備部におきましても、果敢にチャレンジする職員の文化につなげるため、若手の勉強会が行われておりまして、未来提言がなされるなど、これからの県政を担う職員、この方々が果敢に挑戦する風土、これが醸成されつつあるなというのをひしひしと感じているところでございます。
これらの取組を通じまして、挑戦する風土、あるいは学習する組織に向けた人材育成を進めまして、県民サービスの向上につなげてまいりたいというふうに考えております。
【質問】
部長、御答弁ありがとうございました。いろいろな視点、いろいろな角度から取組を進めていただいているということ。
紀平部長におかれましては、県債残高、経常収支の適正度の目標を達成され、財政健全化の成果も出されておられます。こんな私に言われても、うれしくも何ともないかもしれませんけれども、本当にこれまでのお仕事に対して、御尽力いただいていることに対して敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。
思い起こせば、一昨年の12月8日の予算の総括的質疑で、私は会派を代表してただしていただいて、真に必要な施策とは教育じゃありませんかと、無理やりにも教育ですねって言わせるような勢いで、直球勝負で挑ませていただきました。
それに対して紀平部長は、真摯にお答えいただきました。県庁の廊下で会っても、親しげに声をかけていただきます。今年に入って私が直談判したときも、私が納得するまで御丁寧に説明をいただきました。本当に私は感謝しております。
ただ1点、最後に、真に必要な施策、これと関連しますので聞いてください。
行政よりも選択と集中がなかなかできないのが教育現場です。GIGAスクール構想や小学校での英語、外国につながる子どもたちの学校独自の日本語指導、園・学校には何を言っても、どんな言い方をしても構わないという限界を超える一部保護者の対応など、新しいことは入っても、現存するものを省くことは全くできない状況です。どれも必要であり、どれも外せない、だとするならば、マンパワーの補充、教職員定数の県独自の抜本的改善しかありません。これこそが真に必要な施策です。予算の増額を図り、マンパワーを現場に増やさないと、教育に独創性、積極性、柔軟性が消えてしまうという現場の悲痛な叫び、魂を込めて届けさせていただきました。ありがとうございます。