県行政を運営するに当たってのリーダー論について | 三重県議会議員 喜田健児
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県行政を運営するに当たってのリーダー論について

令和2年2月27日の一般質問の内容、県行政を運営するに当たってのリーダー論についてについてです。

    喜田健児の問題意識

     

    複合的に絡み合った課題に対応していくために、複雑化する行政運営に当たっては、サーバントリーダーシップが必要になってきていると思います。知事の考える組織のリーダーの在り方についての見解を伺いました。

     

    実際の質問のやり取り

    【質問】

    複合的に絡み合った課題に対応できる組織になるための部局横断的な連携が始まります。その組織を作っていくに当たって、私が一番危惧するところは、直属の上司やその上の管理者にとって、労務管理が難しくなるということです。いつも、部局内にいた部下がまたおらん、どこにおるんや、どこに行ったんや、何しとるんやと、労務管理ばかりに意識が行き、部下を信用せずに、挙げ句に何をやっているのかを理解しようとしない状況が生まれないとも限りません。これは、トップダウン型、支配型リーダーに多いと思います。三重県庁には、そんな管理職の方は見えないのですが、ちょっとお付き合いいただければと、私の考えを聞いていただければと思います。
    部局横断的な連携を成功させるためには、部長級以上の管理職の意識改革が先決です。昨年のラグビーワールドカップで日本チームが掲げたワンチームというスローガンは、コーチ陣が決めて、選手に伝えて、それを浸透させ、一糸乱れぬ集団を目指すということではありませんでした。選手たちに、自分で考えて、それで考えてもらったことを、決定してもらったことを取り入れて、チームに生かしていくというものです。日本チームのヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフさんが大切にしたのは、多様性の尊重と自主性の尊重です。選手たちに追い求めたのは、自主性と主体性の強化でありました。コーチ陣は、そのための環境づくりをすることであり、支配するのではなく、支援するサーバントリーダーとなり、確固たる信念の下、歩みを進めたわけです。その結果が、世界と戦えるチームとなり、日本中を感動の渦に巻き込み、勇気と元気、希望という生きる活力を与えたわけです。
    鈴木県政10年目となる節目の年度を目前に控えて、まさに他方から見て、超強力的なトップダウン型、支配型リーダーと見えてしまう知事ですが、実はそうではなくて、1期、2期、3期とリーダーとしての在り方を戦略的に変革しているのではないかと思います。その表れが部局横断的連携だと思います。
    鈴木知事、ちょっと持ち上げた感はありますけれども、実際のところどうなんでしょうか。そこで、知事にぜひともお聞きします。複合的に絡み合った課題に対応していくために、複雑化する行政運営に当たっては、サーバントリーダーシップが必要になってきていると思います。知事の考える組織のリーダーの在り方について、お聞きしたいと思います。

    【鈴木英敬知事答弁】

    組織のリーダーの在り方について、答弁させていただきます。
    現在は、過去の経験が通用せず、経験だけでは正解を出せない時代であり、これまでの成功セオリーが必ずしも通用しない中、試行錯誤を繰り返しチャレンジしなければ、最適解が見いだせない時代と認識しています。そのような時代においては、リーダーシップやマネジメントの在り方も変化していく必要があります。
    先般、若手・中堅養成塾で私の15年来の友人であり、リーダーシップ論の研究者でもある日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二氏から、リーダーシップに関する講演をいただきました。
    リーダーは、組織に1人というのから組織に複数、例えば、チームにキャプテンが2人いるということ、そういうようなこと。あるいは、カリスマ型リーダーシップから、オーセンティックリーダーシップ、自分らしいリーダーシップ、リーダーは周りを引っ張るリーダーシップと周りを支えるフォロワーシップの両方をバランスよく持たなければならないとの趣旨を話してくれました。
    私自身も、組織のリーダーとして、日々職務に当たる中で、大変共感するものでありましたし、その趣旨は、先ほど議員が御指摘いただいた、サーバントリーダーシップとも共通するところがあると考えています。私は、リーダーシップやマネジメントの在り方も他人と比較する必要はなく、人それぞれでいいということを、常々、特に、毎年行う新任所属長向けの研修などで、職員に申し上げています。それは、チームのメンバーも一つとして同じものはないし、リーダー自身の経験や価値観も一人ひとり違うものであり、リーダーシップについても、一つとして同じものはないとの考えがあるからです。したがって、リーダーシップはあれかこれか、あれがよくてあれは駄目というものではなくて、あれもこれもあり得るということだと思います。その際、どのような形でリーダーシップを発揮していくにしろ、結果の質だけを問うのではなく、お互いが協働したり、認め合ったり、信頼関係を築いたりといった職員間の関係の質をまずは高めていくことが、組織のマネジメントを成功に導くためには不可欠であります。このみえ県民力ビジョン・第三次行動計画や第三次三重県行財政改革取組の最終案などにおいても、そういう面談の質の向上、コミュニケーションの充実、そういうことを進めることを検討しているところであります。
    先ほど、1期、2期、3期ということでありましたけれども、少し危機管理とかは事案の事象がやや違うかなとも思うところでありますけれども、今も週何回かは各所属に行って、朝のミーティングで職員と話をしたりということで、そういう意味ではこの10年の中で、自分自身の経験や、あるいは県民の皆さんの行政ニーズを踏まえ、自分のリーダーとしての在り方、任せる部分の在り方、そういうものもまだまだ至らぬところではありますけれども、考えながら日々職務に当たらせていただいているところであります。

    【意見】

    御答弁ありがとうございました。
    とても意味がある御答弁をいただいたように、私は感じております。と申しますのは、たまたま人事異動で割り当てられて、本人がやりたい仕事でもなく、問題意識がなかったとしても、上司がサーバントリーダーであったとするならば、その部署に他人任せ、指示待ちの体質や空気感はないので、職員のモチベーションは上がり、勝手に育っていくと思います。随所で、主となる職員による改革が、真に必要なスマートであると思います。県職員の情熱がさらに表に現れることになるのではないかと期待を申し上げます。

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