障がい者雇用の定着率向上に向けた取り組みについて
令和4年3月9日の一般質問の内容、障がい者雇用の定着率向上に向けた取り組みについてです。
喜田健児の問題意識
定着率を高めるためには、雇われた障がいのある人と雇い主との間に立って障がい者をサポートするジョブコーチが必要ですが、三重県の民間企業でこのジョブコーチの派遣申請が極めて少ないため、周知徹底やジョブコーチの資質向上を提案しております。
実際の質問のやり取り
【質問】
(2)定着率向上に向けた取組についてです。
県は、6月1日に雇用している障がい者の数で雇用率を出し、優良企業かどうかを判断していますが、雇用からいかにして定着させるのか、その努力をしているのかが優良企業であるはずです。
精神、知的、発達障がいのある人の特性を理解し、障がいのある人への合理的配慮を講じることは、就労定着化のために必須と言えます。
そして、定着率を高めるためには、雇われた障がいのある人と雇い主との間に立って障がい者をサポートするジョブコーチが必要ですが、三重県の民間企業でこのジョブコーチの派遣申請が極めて少ないと聞いています。
そこで、県として、福祉サービス利用の有無にかかわらず、障がい者雇用に取り組んでいる企業に対する定着に向けた取組をどのように進めているのかをお伺いします。
【雇用経済部長】
就労した障がい者の定着支援の取組についてお答え申し上げます。
県におきましては、障がい者の採用や職場定着を図るため、三重労働局とともに企業向けの障がい者雇用促進セミナーを開催して、普及啓発を行ってございます。
また、個別の企業支援につきましては、県内各地域のハローワークと共に、障がい者が雇用される前に職場でのOJTを通じて業務に慣れてもらう、いわゆる委託訓練と呼ばれる職業訓練を実施してございます。
この委託訓練では、企業や障がい者、場合によっては、障がい者の御家族を含めてということを聞いておりますけれども、それに加えまして、ハローワークだとか就労支援機関、県の職業訓練コーディネーターなどの支援者の方々が参加する会議を訓練期間中に3回を実施するという、そこで本人の障がい特性や適性に合わせた支援につなげていくという仕組みとなってございます。
また、この訓練終了後も雇用された障がい者をフォローするために、定着状況を定期的にヒアリングしてございます。例えば仕事が休みがちになるなどの状況を把握した場合には、直ちに支援機関と共にフォローするなど、訓練参加者の離職の防止、定着に向けたきめ細かな支援に努めておるということでございます。
その結果といたしまして、直近2月のヒアリングにおきましては、令和2年度中に訓練を経て雇用された障がい者の方30名のうち25名、80%を超える方が就職1年後も同じ職場で働いているという状況でございます。
県といたしましては、企業に対する障がい者の定着支援につきましては、三重労働局などの関係機関と連携をし、企業自身の気づきを促すような、そういったセミナーの開催だとか、きめ細かな支援ができる委託訓練、こうしたものを実施するほか、また、令和4年度は新しく、業務になれるまで一定の支援が必要な障がい者を雇用する企業を後押しするため、サポートスタッフが常駐する障がい者のテレワーク拠点の設置を支援してまいりたいと考えております。
引き続き、障がい者一人ひとりの適性に応じたきめ細かな支援を関係機関と共に行うことで、企業における職場定着の促進に取り組んでまいりたいと考えてございます。
【質問】
部長、御答弁ありがとうございました。
御答弁を聞かせていただいていると、今の県の施策に乗っかっている民間企業の定着率は、非常に悪くはないということなんですけれども、テレワークの拠点も新たにやっていただくと、県として一生懸命、そういう部分を御尽力いただいているんだなということは分かりました。
雇用する民間企業が、国のジョブコーチ制度を利用するように周知徹底を図るとともに、私はジョブコーチの資質向上の手だても必要だと思っております。
これは国がやることなのかも分かりませんけれども、なぜかというと、ジョブコーチ自身が担当の障がい者の特性の理解、合理的配慮事項の見極め、何よりも当事者との信頼関係を構築することは時間がかかります。
就労移行支援事業所の方が言うには、私ら何か月しておっても、そんな簡単に信頼関係なんか結べないよと言われます。そこのところが、だから難しくて、うまく機能しないのが定着率が高まらない、そういう要因もあるのではないかと私は思います。
公的機関への就職にちょっと移りたいと思います。
就労移行支援事業所の新たな試みが始まろうとしています。公的機関への就労に向けての適性判断から就職試験、就労移行準備、就労定着までをワンセットで、ハローワーク等を通さずに、就労移行支援事業所が責任を持ってやるという仕組みです。
あらかじめその仕組みについては、私は担当の方にお渡ししております。この仕組み、三重県としてどう評価をしますか。また、県庁で雇用された障がい者の離職状況や定着に向けた取組はどうなっているかということをお伺いしたいと思います。
【総務部長】
それでは、県職員として採用された障がいのある方の、いわゆる離職状況、あるいはその職場定着に向けた取組につきましてお答えをさせていただきます。
まず、本県では、県職員の障がい者雇用を推進するため、令和2年3月に、三重県職員障がい者活躍推進計画というものを策定いたしまして、障がい者に対する職員の理解促進ですとか、あるいはその職員の採用や配属に当たっての受入れ体制整備の強化など、障がいのある方が働きやすい環境づくりに取り組んでおるところでございます。
また、この計画の中では、新たに採用されました障がいのある職員が早期に離職してしまうことのないよう、職場定着に向けた様々な取組を進めておりまして、計画策定以降、知事部局におきましては、新たに採用した障がいのある職員の離職者についてはいない状況でございます。
続きまして、職場定着に向けた具体的な取組について御説明させていただきます。
まず、障がいのある方を対象といたしました職員採用試験におきまして、令和元年に厚生労働省のほうから、障がいに対する職場での理解ですとか、職場でのコミュニケーションツールとして、いわゆる活用することを目的に示されました就労パスポートというのがございまして、これを本人協力の下で作成をいたしまして、自身の特徴ですとか求めたい配慮事項、あるいは得意とする業務スキル等につきまして、配属する所属へ前もって伝えまして、相互理解につなげておるというところでございます。
また、ちょっと話が変わりますけれども、平成20年度から行っております知的障がい者を対象といたしました職員採用におきましては、会計年度任用職員として継続任用を行いながら、いわゆるできること、あるいは苦手とすることを職場でしっかりと把握いたしまして、本人の特性に合わせて、少しずつできることを増やしていけるよう段階的な知識、経験の定着に取り組むことで、正規雇用に向けた長期的な人材育成を行っておるところでございます。
そのほか、計画を進めるに当たりましては、障がいのある職員が参画いたしました三重県職員障がい者活躍推進チームというものをつくりまして、そこにおいて検討を行っております。
このチームにおきましては、人事異動の際に、障がいのある職員に、一人ひとりに応じて職場で留意すべきポイントを作成したほか、障がいのある職員が在宅勤務制度を利用しやすいように運用の見直しを行ったところでございます。
こうした取組を通じまして、障がいのある職員が有する能力を最大限に発揮しながら、職業生活において活躍することができるよう、雇用者の立場といたしまして、引き続き、職場定着に向けた環境整備に取り組んでいきたいと考えてございます。
以上でございます。
【質問】
部長、御答弁ありがとうございました。
県庁での障がい者の目線に立った、本当にきめ細やかな取組がなされていることがよく分かりました。何か離職者はいないという県庁でつくり上げた仕組みを各市町にもっと、波及していけばいいのになと思いました。
松阪市での新たな試みであるとか、各市町の独自の取組など積極的に交流され、障がい者の雇用と定着の取組がさらなるブラッシュアップを遂げていくような仕掛けをしてほしいなと思います。
一つ気になったというか、もっと知りたいなと思ったのは、個に応じた、その障がいの特性に応じたどんな仕事をしているのか、なおかつ、その勤務時間はどれぐらいなのか、その報酬はどれぐらいなのかという辺りが非常に興味を持ちましたので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
この項の最後に、障がい者を雇用するということの本質ですが、当事者の立場に立ち切り、同じ目線で出てくる問題を障がい者の問題とせず、自分の問題、社会の問題、三重県行政の手だて、仕組みの問題と捉えて解決に動き、障がい者も、外国人も、高齢者も、独り親も共に生き、共に働くことが楽しいという共生社会を構築することにあると思います。
そのため、県独自でどれだけの予算をつけて、どんな施策を、どれぐらいの人をつけてやるのかが重要であり、私はそこに今後注目をしていきたいと思います。ありがとうございました。