障がい者の雇用率と定着率を高める施策について | 三重県議会議員 喜田健児
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障がい者の雇用率と定着率を高める施策について

令和4年3月9日の一般質問の内容、障がい者の雇用率と定着率を高める施策についてです。

喜田健児の問題意識

障がい者の雇用率と定着率を高めるためには、障がいの特性の理解、偏見を排する心のバリアフリーに向けた施策を講じることが必要であると感じており、県の取り組みの状況を伺うとともに、更なる取り組みを提案しております。

実際の質問のやり取り

【質問】

(1)障がい者の雇用率と定着率を高める施策についてです。
障がい者の就労への道は大きく三つ、特別支援学校から、中学校・高校卒業後ハローワークを通じて、就労移行支援事業所から、この三つのうち雇用率と定着率が高いと思われるのはどれか。知事はじめ執行部の皆さん、お分かりでしょうか。それは、特別支援学校から就職した場合です。
福祉サービス従事者が言うには、中学校を卒業した障がいのある子どもが全日制、定時制高等学校に進学し、一般就労を希望し、就職した場合の離職の割合はかなり高いと言っています。それはなぜなのかを掘り下げてみたいと思います。
平成30年度に開校した知的障がいの子どもたちが通う松阪あゆみ特別支援学校では、この4年間の一般就労希望者の就職率は100%、3年間の定着率は90%前後と伺っています。
これは、特別支援学校には長年積み上げてきた進路指導のノウハウがあるためだと思います。アセスメントし、職種の方向性を進路懇談会等で保護者と共に模索し、希望職種の企業に複数回の現場実習に行きます。そこで採用側にその生徒の特性を理解してもらい、合理的配慮の提供について協議します。最終的に、生徒本人の意見を尊重し、進路を決定します。
この間、進路担当の先生が何度も足を運んで調整し、学校でもその職に就くための課題を中心に、支援や指導を行います。就職後も職場を定期的に訪問し、定着支援をしています。この教育現場の地道な努力によって、雇用率も定着率も高いわけです。
三重県で生活する障がい者が個の特性を生かし、その能力が発揮でき、安全・安心に生活が送れ、豊かさが実感できる、これこそが選ばれる三重県の基盤であるべきで、強じんな美し国ではないでしょうか。
その実現のためには、障がいの特性に対する理解、さらには偏見を排する心のバリアフリーに向けた施策を講じることと、さらに、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の趣旨にのっとり、合理的配慮の提供が確実に行われるような周知並びに実効性ある施策を講じることは、行政としての責任であると思います。
そこで、三重県において就労に関わる場面で障がいの特性の理解や合理的配慮の促進にどう取り組んでいるのかをお聞きいたします。

【子ども・福祉部長】

障がい者の雇用と定着に向けまして、合理的配慮の促進についてどのように取り組んでいるのかということでお問合せいただきました。お答えさせていただきます。
障がいのある方が希望する職場で仕事を続けていくためには、雇用される雇用主だけでなくて、職場の上司ですとか同僚ですとかが障がいへの理解を深めていただくこと、また、施設のバリアフリー化など、誰もが働きやすい環境整備を行うことが大切であると考えます。
その上で、合理的配慮、これは障がい者の求めに応じて、一人ひとりの障がい特性に合わせて様々な障壁を取り除くというものでございますけれども、この合理的配慮を行っていくということが重要であると考えています。
こうした認識の下、県では、障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい三重県づくり条例に基づきまして、専門相談員を配置いたしまして、障がい者やその家族、事業者からの相談に対する助言ですとか、必要な調整を行っております。
また、事業者や障がい者の団体等で構成いたします三重県障がい者差別解消支援協議会、こちらを設置いたしまして、合理的配慮に関する具体的な相談事例を踏まえました検証を行うとともに、こういったものを事例集としてホームページ等で広く周知しているところでございます。
さらに、障がい者への理解や必要な配慮を知っていただくための啓発活動といたしまして、例年、事業者や県民の皆さんを対象に開催しておりますこころのバリアフリーセミナー、今年度はオンラインでの開催になりましたけれども、こちらのテーマを障がい者の就労ということで今年度設定いたしまして、雇用経済部と連携して実施いたしたところでございます。
セミナーでは、障がいの特性に合わせた働き方ですとか、合理的配慮に関する数多くの事例が紹介されまして、参加された方々からは、様々な気づきを得られたというような御意見が寄せられたところでございます。
障害者差別解消法の一部改正によりまして、令和6年6月までに、民間事業者による合理的配慮の提供が義務化されることとなり、事業者の関心も今高まっているところでございます。
こうした時機を捉えまして、障がい者が安心して働き続けることができるよう、事業者をはじめ、より多くの皆さんに障がいや合理的配慮への理解を深めていただけるようにしっかりと取り組んでまいります。

【質問】

部長、県庁の中で児童虐待を主に担当され、発達障がいの子どもたちが虐待される事案に対して親身になって取り組んでこられたと伺っております。淡々とした答弁ではございますが、社会的弱者に対しての愛情が、私を見詰めていただくその目から感じさせていただきました。
ただ、現実、この実態というのは非常に厳しいものがあると思います。今から私は、その現場の実態をちょっとお届けさせていただきたいと思います。
合理的配慮の提供は、障がい者の社会参加を拒む社会的障壁を取り除くために必要とされる障がい者の権利でありますが、その特性の理解と合理的配慮に関する当事者と福祉従事者の声をお届けします。
当事者です。昼休みに1人で過ごすスペースが欲しい。言葉だけでなく、写真や図によって指示してほしいと要求しても、特別扱いはできないと拒否されてしまう。障がい者に健常者と同じだけの仕事量を求めてくる。仕事ができないと、きつく叱責される。障がい者のできる仕事は、簡単な仕事の補助ぐらいしかないと決めつけられて、その人の能力や希望を無視して、意にそぐわない作業に従事させられることもあった。
この当事者の声に対して、福祉サービス従事者は、実際に対人関係を取るのが苦手な発達障がいの人であっても、ちょっとした配慮で高度なスキルや能力を発揮して働くことができる人はたくさんいる。視覚障がい者であっても車に乗れるし、パソコンを打てる人もいる。個々の障がいのある人の特性を理解する、そして合理的配慮。
身体に障がいのある人の合理的配慮は、車椅子のスロープ設置、手話通訳、音読など分かりやすいのですが、精神、知的、発達障がいのある人への合理的配慮は、その障がいの特性への理解が進まないと、どうすればよいか分からないことが多いわけです。特性の理解のところが大きな課題となります。

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