オーガニック給食の推進について~有機農業の出口戦略としての学校給食 | 三重県議会議員 喜田健児
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オーガニック給食の推進について~有機農業の出口戦略としての学校給食

令和5年第2回定例会(12月6日)の一般質問の内容です。

オーガニック給食の推進について~有機農業の出口戦略としての学校給食についてです。

 

 

    喜田健児の問題意識

    この質問は、令和4年3月9日の一般質問の第二弾です。再度状況を伺うことで政策実現に近づける狙いがありました。それは、前回の質問に対する知事答弁は非常に前向き、前のめりだったからです。私は、子どもたちの健康や健やかな成長のためにはオーガニックの食物を食べることは重要であり、地産地消や中山間地域での雇用の創出の観点からも、オーガニック給食の導入すること、そして、オーガニック推進県の提案をしています。

    知事からも「非常に一つのいいアイデア」「市町ともどうやって進めていけるか検討を進めていきたい」という答えを引き出しています。

    その時の議事録と動画・・・有機農業、オーガニック給食、移住促進、選ばれる三重県について(地産地消の循環型地域) | 三重県議会議員 喜田健児 (kenjikita81.com)

    今回進捗状況を確認したところ、農林水産部長から「有機農業の拡大に合わせて、他の県産農産物と同様に有機農産物の学校給食への活用についても働きかけていく」という前向きな答弁があり、多気郡選出の松浦議員が関連質問に立ち、超党派でこの問題を進めていくという狼煙をあげることができました。

    子どもたちの食育によって、三重県経済を活性化することが出来る。

     

    実際の質問のやり取り

    【質問】

    農産物の出口としての学校給食をという認識を問うていきたいと思うんですけれども、給食に使われている農産物全部と、いきなり10を求めるのではなくて、小さく始めて負担のないようにしていってはどうかというふうに思うのです。

    千葉県いすみ市は、有機米から現実的なロールモデルを作り出しています。世田谷区は、有機米を10月から3月まで6回学校給食に導入し、ニュースとなりました。

    ロット数が作れないとよく言われますが、先週のNHK特集でもいすみ市の事例は紹介されていますので、既にできているところを参考にし、三重県として実現可能なところから始めて、次の目標を設定していけばよいと思います。

    三重県は、もう既に伊賀有機農業研究会とか、愛農高校が実績を残しています。ゼロからのスタートではありません。

    愛農高校は60周年、60年も農薬や化学肥料を使わずに自然農法でやっています。グッドデザイン賞や養豚部はミシュランの生産部門で賞を取るなど数々のコンテストで賞を取り、全国的にも注目をされている学校です。既にオーガニック給食を始められる環境にあると思われます。愛農高校は、いつでもロールモデルとして皆さんに見ていただく準備は整っていますと言われております。

    有機農業者にとって、学校給食マーケットが大口の有機農産物の消費出口となれば、有機農業にシフトする農家は必ず増えると言われています。

    三重県はオーガニック推進県、食料自給率アップを目指したSDGs推奨県とアピールすることは、県外からの観光客増、インバウンド客増につながる効果的戦略になります。

    なぜなら、志摩観光ホテルでの伊勢志摩ガストロノミーや伊勢志摩サミットに選ばれた食材の豊かさなど、すばらしさは全世界に発信をされています。もう既に、三重県は成功を収めていると言っても過言ではないです。

    まずは、有機農業者を増やしていくために公的機関の学校給食のマーケットに農業財源を投入していくことは、十分必要な政策と考えますが、どうでしょうか。

    また、オーガニック給食を県としても農水省の国家プロジェクト、これ(パネルを示す)に乗っかって積極的に推進し、有機農家を増やしたり支援したりすることは、食料安全保障の観点からも意味があるものです。2025年までに100市町村でオーガニックビレッジ宣言をというような国家プロジェクトに乗っかっていく。

    このように、農業支援と食料安全保障の視点で、学校給食を農産物の出口として位置づけていく政策提案に対して、農林水産部としての現時点でのお考えをお聞かせください。

    【農林水産部長答弁】

    県といたしましては、食料の安定的な供給に向けて地産地消や食育を推進するために、教育委員会ですとか生産者団体と連携して学校給食での県産農産物の活用を進めているところです。

    また、栄養教諭の方や生産者団体、企業等とも連携し、学校給食用の食材の開発にも取り組み、令和4年度の学校給食における県産農産物の使用割合は金額ベースで57.8%、約6割弱となっております。

    この食材の中でも特に米につきましては、学校給食における県産米の使用割合はほぼ100%となっております。

    そのような中ですけれども、さらに環境に配慮して作られた県産ブランド米である結びの神の活用が進むように働きかけを行い、令和4年10月から小・中学校など71校で導入されるようになっております。

    学校給食への県産農産物の導入につきましては、必要量の確保が課題となっております。各市町における有機農業の拡大に合わせて、他の県産農産物と同様に有機農産物の学校給食への活用についても働きかけてまいります

    【質問】

    部長、前向きな答弁と受け取らせていただきます。ありがとうございます。

    私、農業財源を教育委員会に投入するというのじゃないと思うんです。教育委員会所管の学校給食というマーケットを利用して、農業を輝かせるために投入すると。うなずいていただきました。ありがとうございます。そうだと思いますので、ぜひ農業財源を学校給食、そのマーケットに投入をしていただいて、有機農産物、安心・安全なものが子どもたちの口に入るように、よろしくお願いしたいと思います。

    知事にも、そのことを1年9か月前に力強く述べていただきましたので、その実行をするのは農林水産部、それと教育委員会がタッグを組んでということになると思いますけれども、真の部局横断的な取組が試されるということではないかと思います。

    次、行きます。

    日本の現在の食料自給率は38%、食料の輸入依存度が高い米以外のトウモロコシ、小麦、大豆などの穀物の大半を輸入、自給率が低い化学肥料や飼料といった農業資材について、価格高騰に加え、輸入自体が困難な状況、体を動かすエネルギーの3分の2近くも海外に依存、世界人口の爆発的な増大と異常気象の頻発、紛争や戦争などで農作物の価格高騰、食べ物が手に入らないという事態の現実化、食料の安定供給が脅かされています。

    こうした中で、日本の農業の現状を見ると、際限なく貿易自由化を進めていることで国産の農作物が価格競争で敗北、もうからない農業となり、高齢化も伴い、担い手不足、耕作放棄の増加、集落の消滅危機が拡大という緊急事態であり、農業・農村の疲弊と消滅の危機は深刻です。

    農家を救う農業、そういうふうな部分を消滅させないためにも、ぜひとも、この面からも前向きな検討をお願いしたいと思います。

    令和4年3月9日の一般質問の一見知事の答弁の後に、奥野英介議員のオーガニック給食をやるためには、給食費を無償化にしなければならない、給食費無償は全ての子どもが対象となり平等という意見を紹介して、私も給食費の無償化を提案しました。

    さらに、給食がよいものを安くという方針でいくと、大量に生産される農作物となり、輸入している化学肥料や飼料といった農業資材が使われ、子どもたちの口に入る食の安全・安心が担保できなくなるというのは前回も今回も申し上げたとおりです。

    教育委員会として、全国の自治体がやり始めている、この給食の無償化とオーガニック給食の導入を考える協議会的なものを立ち上げて御検討をぜひお願いしたいと思いますが、教育長、いかがでしょうか。

    【教育長答弁】

    学校給食の無償化につきましては、今年度は、物価高騰により、子育て世代の経済負担が増加していることなどから、本年度から実施しているみえ子ども・子育て応援総合補助金も活用しまして13市町で実施されている状況と認識しています。

    学校給食は、児童・生徒の心身の健康な発達に資するものですので、自治体間の財政力によって給食制度に格差を生じさせることがないように、国において学校給食の無償化の恒久的な財源措置を講じるよう要望を行っているところですし、これからも行っていく予定です。

    それから、学校給食に有機農産物を使用するオーガニック給食の取組が幾つかの自治体で広がりつつあることは認識しております。

    教育委員会としましては、学校給食において食材の安定供給が不可欠でございますので、しっかり今後のコストですとか必要な数量の確保などについて、しっかり生産者や生産団体の今後の動向を見極めていかなければ、注視していかなければならないと考えております。

    【質問】

    御答弁ありがとうございます。

    非常に前向きな御答弁をいただいたんですけれども、それを検討する会を立ち上げるというふうな提案をさせてもらったんですが、その辺りはどうでしょうか。

    【教育長答弁】

    いただいた提案の趣旨は理解しましたので、今後の対応に生かせるところがあれば生かしていきたいというふうに考えます。

    【意見要望】

    ありがとうございます。

    今、どっちと取っていいのか、ちょっと分かりませんけれども、前向きな御答弁をいただいたということで、引き続き協議を重ねていきたいというふうに思いますのでよろしくお願いします。

    教育委員会は、未来を創る子どもたちへの投資ということになります。給食費の無償化、それからオーガニック給食の導入は、農林は農業の未来への投資、全庁的には少子化対策、人口減少を食い止め、三重県経済を好転させるための投資というふうに学校給食の無償化、オーガニック給食ということはそこにつながるものだと思います。

    財政力による教育格差、先ほども服部議員の質問の中で問題になりましたが、自治体内における給食費負担格差が生じてきています。農業支援、食料安全保障、少子化対策、子育て支援、食育というそれぞれの政策の中から財源を捻出して、学校給食の充実と無償化をやってほしいと思います。

    農業は国の基本、子どもは国の宝、子どもが通う園、学校を見れば、その国の未来が見える、それを決める政治を見れば、その国の行く末が分かると思います。

    知事を含め、御検討をよろしくお願いしたいと思います。

     

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