有機農業、オーガニック給食、移住促進、選ばれる三重県について(地産地消の循環型地域) | 三重県議会議員 喜田健児
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有機農業、オーガニック給食、移住促進、選ばれる三重県について(地産地消の循環型地域)

令和4年3月9日の一般質問の内容、有機農業、オーガニック給食、移住促進、選ばれる三重県についてです。

 

    喜田健児の問題意識

     

    教育現場の実態ですが、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、発達に凸凹の子どもたちが、少子化なのに増えています。発達障がいの子どもたちが増えている背景には、愛着障がい、そして、食べ物が関係しているのではないかというのが、私の調査研究の現時点での結論です。
    さらに、7人に1人の子どもが貧困状態にあり、栄養状態が不安です。給食費が払えない家庭もあり、その徴収に学校は苦慮しています。

    そのため、地産地消のオーガニック給食を導入し、心身の健康とともに、経済的に困っている家庭の支援にもつなげてほしいという提案をしております。

     

     

    実際の質問のやり取り

    【質問】

    (2)有機農業、オーガニック給食、移住促進、選ばれる三重県についてです。
    教育現場の実態ですが、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、発達に凸凹の子どもたちが、少子化なのに増えています。発達障がいの子どもたちが増えている背景には、愛着障がい、そして、食べ物が関係しているのではないかというのが、私の調査研究の現時点での結論です。
    さらに、7人に1人の子どもが貧困状態にあり、栄養状態が不安です。給食費が払えない家庭もあり、その徴収に学校は苦慮しています。
    我が子の心身ともに健やかな成長を願う親の気持ち、その愛情の深さは計り知れません。今日、傍聴席に見えているお母さん、お父さんは、子どもへの愛情を行動で表現しています。ママエンジェルスの答申が知事の手元にも届いたことと思いますが、その答申、どこからも諮問されていない、そんなものではありません。
    目の前の我が子がこれを食べて大丈夫なの、病気にならないの、元気に成長できるの、地球の未来にも大丈夫なの、友達みんなみんなこれでいいのと親に向かって子どもが諮問している、その答申だと認識しなければならない、私はそう思います。そんじょそこらの答申とは込められた思いや願いが違います。魂が入っています。
    農薬や化学肥料、抗生物質、ホルモン剤、遺伝子組換え、ゲノム編集、土壌改良剤、添加物等を使用していない食材なのか、子どもが口にする食べ物は、どんな場所で、どんな人たちによって、どんなふうに作られているものなのか。
    今も昔も子どもたちはきちんとしたものを与えてやりたいと願う親の気持ちは変わりません。コスト削減による大量生産、利益優先の飼育、基準値を緩和しての農薬使用など、食材への信頼性は失われていると言っても言い過ぎではないと思います。
    また、世界人口が増加する中で、カロリーベースで6割を輸入に頼っている日本人として、世界の食糧危機に備えて食料自給率を上げていく。そのためには、地域の将来を見据えた持続可能な食料システム、地産地消によるローカルマーケットの創出による循環型地域をつくっていくことは、重要かつ喫緊の課題です。
    2月17日の全員協議会において、一見知事は、全庁を挙げて、なりふり構わず人口減少対策をやっていかないといけないと発言されました。
    みえ元気プラン(仮称)2026年の展望には、このままでは人口減少が加速し、5年後の三重県人口が現在よりも約8万人の減となり、地域経済において、生産年齢人口の減少に伴う供給制約による経済の低迷、人口減少そのものに起因する消費の低迷による地場産業の縮小、それに伴う雇用減少が懸念されると書かれています。大変なことです。
    そこで知事、私もなりふり構わず人口減少対策の一つを申し上げます。
    最初に結論ですが、給食の無償化、自校方式によるオーガニック給食を中山間部の学校に導入する、そのことから生まれる地産地消の循環型地域が、三重県の人口減少を食い止める、これが私の結論です。
    私は、真の人口減少対策は、子どもたちが地域で取れた安心・安全なものを食べて育ち、大きくなったときに地域の農林水産業を支える、そんな地元への愛を子ども時代に育むこと、そして、今直面している限界集落や過疎地域が消滅する危機をいかにして乗り越えるのかということが、真の人口減少対策ではないかと思っています。
    その視点で、人口減少を食い止めるシナリオを御紹介させていただきます。
    まずは、有機農業の推進です。
    日本は2050年を目標にカーボンニュートラル宣言を行いました。あらゆる産業でSDGsや環境への対応が求められています。国のみどりの食料システム戦略は経済と環境の両立を目指したもので、地球環境に優しい食料システムを構築していくことが政府の方針の全てに反映されています。地産地消の循環型社会。
    担当課はこう言います。有機農業の課題は大きく二つで、一つは、有機栽培技術というのはそうは簡単なものではなく、その技術の習得には労力、コスト、時間がかかる。なので、そもそもやる人がいないということ。もう一つは、出口の問題、能力、コスト、時間をかけて作った農作物は、やはり高くなるので簡単に売れない。だから有機農業で生計が立てられないと、こう言われます。
    それに対して、一つ目の課題は、有機農家が言うには、技術を上げるためのデータやノウハウがあるから難しくはない。さらに、二つ目は、出口の問題を行政の施策によって仕組みができればよい。そうしたら、やる農家は必ず出てくる、これが現場の声です。
    この二つの課題を解決するのは、オーガニック給食です。有機農作物の大口消費出口として、学校給食を位置づけるわけです。全ての学校ではありません。生産量を見越して、中山間地域などの学校を選定して導入していきます。有機農業の広がりが見られたら、導入する学校を増やしていきます。
    先進事例を紹介します。
    石川県羽咋市は、2015年に自然栽培に共感し、この土地で新しく農家を始める人に対して、空き家のあっせんや助成金の交付などでサポート、2015年から小学校へ導入して、2021年に全国学力テスト1位となったその要因が、オーガニック給食の導入によるものではないかと言われ、そして、2020年には、さらに保育園でオーガニック給食を試験的に導入しています。
    千葉県いすみ市は、2015年に有機米を1か月間、給食に導入しました。2017年に全量が有機米に移行してから、残食が10%減ったそうです。2018年に学校給食向けの有機野菜の生産を強化し、全ての野菜を有機化することを目標に掲げています。
    石川県羽咋市の人口は毎年減ってはいますが、農地有効活用により、地域コミュニティーはつくられたのではないでしょうか。
    千葉県いすみ市の移住は、現在人気となっています。羽咋市同様に、人口減の解決には至っていませんが、循環型持続可能な地域に向かって進んでいるのではないでしょうか。調査する価値はあると思います。
    それを証明するのは、国の事業、オーガニックビレッジ制定都市に手を挙げる自治体が全国で出ています。この三重県においても、手を挙げた自治体を県として支援し、市民グループと連携しながら、オーガニック給食の導入などオーガニック推進県を目指し、子どもよし、農業従事者よし、中山間地域よし、三重よしの人口減少対策モデルを私がるる申してきましたけれども、これを一見知事はどう見ますでしょうか。知事の組織マネジメントも含め、私の政策提案に対しての御所見をお伺いしたいと思います。

    【一見勝之知事】

    非常に力強い御質問いただきました。
    人の体は食べたものでできている。あなたが食べた物を言ってください。そうすれば、私はあなたがどんな人間か言ってあげましょうということを言った方もおられるということも聞いたことがあります。
    私も東京におりましたときに、食べ物に気をつけないかんというので、生協で無農薬のものを中心に購入して、食べておりました。
    特に三重県の未来を担っていただくのは子どもたちです。その子どもたちが口にするものをなるべくいいもの、農薬が使われていないもの、そういうものを使いたいという親御さんの気持ちは、私も人の親としてよく分かります。
    議員から御提案のオーガニック推進県を目指すという取組、非常に一つのいいアイデアだとも思っております。これをどう実現していくかというのは重要なことだと思います。
    今日御指摘をいただいた羽咋市のお話、こういったものをより深く調査して、三重県でも実施できるかどうかということを考えていくのが重要やと思います。
    かつて、三重県のほうでもオーガニックを入れようじゃないかということの取組をされた自治体があると聞いています。
    そのときの問題点は、今議員からおっしゃったことも若干関係があるかもしませんけど、やっぱりオーガニックは量がなかなか取れないということで、学校給食にはなかなかなじみにくかったということがありますけど、これは鶏が先か卵が先かという話かもしれません。力を入れてやっていけば、ひょっとしたら量が増えてくるかもしれない、そういったことも研究していくというのが重要やと思います。
    いずれにしても、学校給食になりますと、市あるいは町で取り組んでいただいている話ですので、市や町の方々とお話していく必要があると思っています。
    でも、決して市や町に任せて丸投げというつもりはありません。やはり県が持っている専門性とか、先進性とか、機動性がありますので、例えば羽咋市の話だとか、あるいは千葉県いすみ市なんかでもオーガニック給食に取り組んでいるという話も聞いておりますので、そういった辺りの調査を我々が市や町と一緒になってやって、あるいは市や町がやらなければ情報提供してあげると、そういうふうにチャレンジしていくことは必要だと思います。
    また、御指摘いただいたオーガニックビレッジ、農林水産省の事業だと思いますけど、これが令和3年度の補正予算、令和4年度予算で始まるということで、三重県でもこれに興味を持っておられる自治体があると聞いていますので、そういったところと連携しながら、どうやって進めていけるか検討を進めていきたいと考えているところでございます。

    【質問】

    一見勝之知事、前向きな答弁いただきました。私の体温が2度、3度上がったような気がします。
    さらに、一見知事の答弁を後押ししたいという思いで、ここから少し話を展開させていただきます。
    元小俣町長の草莽の奥野英介議員は、学校給食は、人件費等の経費を削減するためにセンター方式にかじを切った。配送という経費を考えても、こちらのほうが安く抑えられた。小俣町がセンター方式にするのは迷い、悩んだが、時代の背景を考えると、その当時の判断が間違っていたとは言えない。しかし、時は流れ、我々は気候変動をはじめとする人類存亡の危機と同時に、三重県も人口減少はじめ幾つもの課題に直面している。今私たちは立ち止まり、時代を逆戻りするという選択があってもいい。
    子どもたちの健やかな成長を考えると、栄養士が関わる給食は大事にするべき。外国の農産物は本当に安全なのか、吟味しないといけない。輸出、輸入のバランスを取るために、国策で規制を加えられた農業を活発化するには公の手助けは必須で、その手段としてオーガニック給食は面白い。でも、オーガニック給食をやるためには、給食費を無償化にしなければならない。
    なぜなら、働けない親もいるし、給食費の増額を気にしながら有機農作物や地元産は使えない。医療費の無償化、子ども手当も大事やけど、給食費無償は全ての子どもが対象となり平等、財政的に許されるならば、中山間地域で自校方式を復活させて、地域のおっちゃん、おばちゃんが地元食材を使って、孫のために給食を作る、食材を提供する有機農家がタッグを組んで組織化し、安定供給ができるようにすればいい。日本人はその昔、農耕民族だった。それを公が応援して復活させることやとおっしゃいました。
    私は、奥野議員に勉強させてもらったとき、これはすごいと思って、ぜひ関連質問してくださいとお願いしましたら、笑い飛ばされました。
    オーガニック給食ということを基軸にすることで、お母さんが中心となる消費者と有機農家、行政が線でつながれ、チーム化します。有機農家で人手が必要なときは、お母さんグループが出動して、手伝います。
    そして、生産者と消費者のお母さんとの間で信頼関係が生まれ、様々な問題を解決する仕組みが出来上がります。行政はこれを利用する。行政の施策に農家と消費者が協力するという仕組みが、循環型コミュニティーを強化していく。そうなると、民間企業が注目し、行政が企業誘致に成功する。これ、実際の話です。
    ボトムアップを大切にする一見知事なら、点と点を線で結び、面にして、それを積み重ねていくことで形にしていくという行政運営をできるのではないかと期待しています。
    子どもたちの健康増進、心と体の成長を願い、学校給食が有機、地元産農作物の買手としての安定した売り先となり、地産地消の循環型で地域経済を回す。その結果、有機農家が増えて市場が拡大し、移住促進が図られ、人口減少に歯止めをかけられるというシナリオは現実味を帯びてくると言っても過言ではありません。
    この映写資料は、(パネルを示す)海外オーガニック給食の実態です。内容を留めることはしませんが、世界のリーダーは、シンク・グローバリー、アクト・ローカリーでこの方向にかじを切っております。
    10年後、20年後の三重県、そこへの一見知事の覚悟に御期待を申し上げ、この質問を終わらせていただきます。

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