障がい者の入所施設における待機者の現状について/ 親亡き後の問題の解消に向けた取組について | 三重県議会議員 喜田健児
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障がい者の入所施設における待機者の現状について/ 親亡き後の問題の解消に向けた取組について

令和5年第2回定例会(12月6日)の一般質問の内容です。

障がい者の入所施設における待機者の現状について

親亡き後の問題の解消に向けた取組について

    喜田健児の問題意識

     

    20年ほど前の教員時代のこと、三者面談で我が子を横にして「この子より先に死ねない」と涙をポロポロと流されたお母さん。学校を卒業すると重度重複障がいの子とその親は、親子で引きこもりになるしかない・・・。

    弱者に冷たい社会を作っているのも政治。

    現在県内で300人以上の方が施設入所の待機をしていて、重度重複障がい者の在宅率は70%以上となっていること、重度障がいがある人、医療ケアが必要とする人が入れるグループホームがないこと、現在あるグループホームの数が、県内の地域によっては大きな格差があること、深刻な問題です。

    政治において、この問題は放置されており、この立ち後れによって8050問題、親亡き後問題という深刻な事態を招いていると言っても過言ではないと思います。障がい者福祉は、電気や水道のように絶対に整備されるインフラとして定めるべきです。

    一見県政のヒューマニズムを見極める、という視点で質問をしました。

    「国がやらなくても、三重県はやる」そんな気概を持つ。

     

     

     

     

    実際の質問のやり取り

    【質問】

    (1)障がい者の入所施設における待機障がい者の現状について、(2)親亡き後の問題の解消に向けた取組についての質問に入ります。

    まずは、この障がい福祉事業はインフラ整備というタイトルは、人間が人間として豊かに生きていくには、障がいのある子どもや大人が世に優しい光をもたらす。だからこそ、奪い合いや押しつけ合いの世界を変えていく上において、なくてはならない存在であるという考えから来ています。

    私自身、T君とY君と出会い、助け合い、支え合い、分かち合う豊かな生き方を2人から、彼を取り巻く子どもたちから教わり、おかげで人とつながって共に生き、共に育つ豊かな人生を求められるように少しずつなってきたように思います。

    三者面談のときに我が子を横に置いて、先生、この子より先に、私は死ぬことができないんです。涙を流されたお母さん。その光景を思い出したときに、今でも私は涙が出ます。

    この一見県政で起こり得る問題や課題の全てにおいて、自分のところの部局にも何らかの原因があるし、できることがあるのではないか、そんな思考、そんな一つの哲学がチーム一見県政をつくり上げるような気がします。

    真の部局横断的思考を一見県政にというテーマでというと偉そうに聞こえて申し訳ないのですが、否定するところは否定していただいて、遠慮なしでお願いしたいと。ふるさとを思い、ふるさとのために建設的な議論ができればと思いますので、よろしくお願いいたします。

    私たちは、水や電気がないと生きていけません。だから、経済や産業発展の基盤となるインフラとして、必ず、絶対に整備されます。交通インフラ、社会インフラは整備されないと人々の生活に大きな支障を来しますが、時に、財政の問題で整備が遅れたりします。

    障がい者福祉は、社会インフラに分類されますが、重症心身障がい者は支援がないと生きていけません。なので、必ず、絶対に整備されるインフラとして定めるべきだと思います。この定義、この認識に立っているのかを考えたいと思います。

    手間がかかったり、または基準に合わないけど、その人の支援には必要なことがあります。しかし、経済を優先したり財源を見たりしてしまうと、そのこと自体が切り捨てられたり、軽視されたりします。それでは支援が必要なのに受けられない隙間や谷間の障がい者が出てしまいます。

    政治において、障がい福祉はインフラ整備であるという定義や認識がなく、軽視され、立ち後れによって8050問題、親亡き後問題という深刻な事態を招いていると言っても過言ではないと思います。

    一見県政と三重県議会におけるヒューマニズムを見詰めていきたいと思います。

    障がい者の入所施設における待機者の現状について

    まずは(1)障がい者の入所施設における待機者の現状についてですが、国は、新たに入所施設を造る事業所に対して補助金を出さない方針を掲げ、地域で暮らすように進めています。

    今後、入所施設が増える見通しがない中で、現在の待機障がい者の状況について、御答弁をお願いします。

    次に、(2)親亡き後の問題の解消に向けた取組についてですが、自分がいなくなった後、子どもはどうなるのか、安心して地域で生活できるのかと、知的障がい、重度重複障がいのある子の親はもちろん、精神障がい、ひきこもりなどの保護者にとっても本当に深刻な問題であり、親が高齢になると喫緊の課題です。

    これまで、山内議員、小林議員、野口議員が過去に一般質問で取り上げられております。前向きな答弁を引き出しておりますが、その後、この親亡き後の問題の解消に向けた取組の現状についてお伺いします。できれば、これまでの答弁と同じ答弁は省いていただき、新たなるところを簡潔にお願いしたいです。よろしくお願います。

    【子ども・福祉部長答弁】

    県内の障がい者の入所施設の待機者の状況、また、親亡き後を見越して、どのように安心して生活できるように取り組んでいるのかについてお答えしたいと思います。

     

    県内の知的障がい者の入所施設における待機者数は、令和5年11月の時点なんですけど、346人となっております。親の高齢化に伴い、年々少しずつ増加しているというような状況にあります。

    多くの方は、親亡き後の不安に備え、あらかじめ施設への入所申込みをしているというところで、現在は在宅で生活されています。

    一方で、緊急に施設入所が必要となった場合には、市町や県の障がい者相談支援センターにおいて、ショートステイなども活用しながら早期の施設入所に向けた調整を行っております。

    県としましては、障がい者が、親亡き後においても、施設ありきではなく、自宅であったりとかグループホームなど、自ら選択したところで安心して暮らすことができるように、障がい福祉サービスの充実であるとか、地域での生活を支える体制の整備が重要であると考えております。

    そのため、障がいの重度化や障がい者の高齢化への対応として、重度障がい者向けのグループホームであるとか、日中の介護を行う通所施設の整備を進めているところでございます。

    また、市町でも緊急時の受入れや相談対応、親元から離れて生活の体験などを行う地域生活支援拠点等の整備が進められております。

    令和4年度末時点ですけど、県内14市町において地域生活支援拠点が設置されております。未設置の市町に対しては、先進事例や報酬上の加算等について情報提供を行うなど、設置に向けた支援を行っていきたいと思っております。

    国におきましては、全ての施設入所者に対して、地域生活に向けての意思を確認することで、地域生活への移行をさらに進めることも検討されております。

    今後とも、障がい者が自分らしく住み慣れた地域で安心して暮らすことができ、また、保護者が抱く将来への不安を少しでも解消できるよう、市町と共に地域生活の支援体制の一層の充実に取り組んでまいります。

    【質問】

    御答弁ありがとうございました。

    重度心身障がい者がグループホームで生活できるように、それから地域生活支援拠点の整備、14市町というふうなところを聞かせていただきました。

    県内で346人と聞かせていただきましたが、300人以上の人が待機していて、重度重複障がい者の在宅率は70%以上とこういうふうな現状です。

    もしも一度に多くの保護者が亡くなるような事態が、仮に起こったとしたら、複数の障がい者の人たちが自宅で暮らせないという事態に陥ります。このとき、この想定に対して県はどのような考えでしょうか。どのような対処をするんでしょうか。お答えをお願いします。

    【子ども・福祉部長答弁】

    施設に入所を申し込まれている障がい者の状況については、本人の障がいの程度であるとか、御家族のこととか、一定、どのような状況にあるか、市町を通じて把握しておりまして、何かあったとき、優先する人を優先できるような整理をしているところでございます。

    また、例年ですと施設から退所される障がい者の数が40名程度おりまして、それぞれの障がい者の把握している状況等により、より優先度の高い方から入所していただくことで調整をしておりまして、一定、対応はできているのではないかと考えております。

    【質問】

    このスライドをちょっと見ていただけますか。(パネルを示す)

    そのようにお答えをいただきましたが、相談をかけて、緊急時の受入れ対応ということを、市町で全ての在宅の中の重度重複障がい者において、体制を組めるということではないと聞いております。

    ですので、その把握はするけどけれども、その全てを受け入れるという体制は構築できていないと聞いておりますので、その辺り、さらなる市町との連携、そして、それが起こったときに本当にどうするのかというふうな検討は必要かなというふうに思います。

    親亡き後の住まいですが、特に重度障がいがある人、医療ケアが必要とする人が入れるグループホームがないことが問題となっております。その整備をされているとは聞きましたが、それがないというふうに、少ないというふうに聞いております。

    現在あるグループホームの数が、県内の地域によっては大きな格差があること、特に南勢、東紀州ですね。

    それから、障がい者支援施設等共同生活援助のグループホームでは、運営を持続的に行うためにそこで働く人の人員確保、成り手不足という問題、それと関わりますが、賃金や待遇が悪いという問題、また、地域生活支援拠点については、今年度中に整備される地域が多いですが、その実態は本当に利用する側のニーズ、先ほども言いましたが、ニーズに見合ったものになっているのか。特に、重度の障がい者にとって、緊急事態に備えて体験、練習の機会を保障していくことは重要ですが、それが本当に機能しているのか。その辺り、県として、取組の進捗、市町の実態把握を今後お願いしたいなと。この回答は後日で構いませんので、お聞かせをいただければと思います。

    重度訪問介護サービスで24時間支援を確保してもらっている知的と自閉症の重度重複障がい者は、非常に少ないと聞いております。

    理由としては、ヘルパー派遣費用は、24時間介護となると1人月に250万円が必要で、市の財政を圧迫し到底難しく、苦渋の選択だけど人数を絞らざるを得ない、選別せざるを得ないということで市町は非常に頭を悩ませております。

    私は、県行政がやるべきことは、重度障がい者の声に耳を傾けている市町と連携して、重度重複障がい者の親亡き後の支援、住まい、金銭管理、成年後見などについて実態を把握し、市町に対してどのような支援ができるのかを真剣に考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

    【子ども・福祉部長答弁】

    重度障がいをお持ちの方への支援の充実についてなんですけど、県では、令和4年度に医療的ケア児者の支援センターを開設しております。

    このセンターでは、いろんな御家族や支援者からの悩みの相談に応じるとともに、障がい者サービスを提供する事業所へ医師等を派遣しながら、職員のスキルアップとか支援力の向上を図っているところでございます。

    加えまして、そのほかにも医療と福祉の総合調整をするコーディネーターの養成、これについても毎年取り組んでおりますし、サービスを提供するときに必要になる喀たんの吸引機とか、医療的な機器の購入についての助成などもやりながら、重度障がい者の受皿の整備に努めてきたところでございます。

    現在なんですけど、市町のほうでは、令和6年度から始まる新しい共生社会づくりプラン、3年間の計画ですけど、それに向けまして地域のニーズがどれだけあるのか、また地域でどんな課題を抱えていて、ないサービスをどうつくっていくのか、地域の関係者が集まって議論する自立支援協議会等で、今議論をしていただいている最中でございます。

    そうした情報も市町を通じていただきながら、県としても、重度者のさらなる支援の充実に向けてしっかり取り組んでいきたいと思っております。

    【質問】

    御答弁ありがとうございます。

    共生プランのほうは令和6年度から3か年ということですね。

    今、るるおっしゃってもらったんですけれども、親亡き後を考える団体の人たち、親御さんたちが、今の答弁を聞いて本当に安心をするのかというところ、やっぱり市町と連携しながら、その協議会のほうでしっかり声を聞いていただいて、確実に議論を深めていただきたいと。

    今日も親亡き後を考える会の代表の方も来られていますけれども、その辺り、県がどのように本腰を入れてもらえるのか、注目もしていきたいと思いますし、よろしくお願いしたいなと思います。

    一見知事、結局は、何が難しいかといったら、やっぱり財源が、とにかくお金がかかるということだと思うんです。

    障がい福祉事業はインフラ整備という位置づけにしないといけないという考えに立つのか、立たないのかってなったときに、それは立つという選択になるんでしょうけれども、やっぱり財源の確保という難題は重くのしかかってきます。

    でも、けれども、ここを何かみんなの力で、みんなの知恵を結集してやっていかなければならない、そういうインフラ整備というふうな考えに立たないといけないと思うんですけれども、知事の見解をお聞かせいただければと思います。

     

    【一見勝之知事答弁】

     

    御通告をいただいておりませんので、私ども執行部で議論をして、こういうことですという答えではなく、私の個人的見解に近いということで御了解をいただければと思います。

    福祉については、そもそも、近代国家がなぜ近代国家なのかという話を以前もここでお話をしたことがあると思いますが、それは弱者に優しい存在であるから近代国家であると、弱肉強食の世界ではないということを申し上げたわけであります。

    日本国は今、三重県もそうでありますけれども、近代国家であって、そこではどんなチャレンジを受けている人であっても人間として人間らしく生きていける、そういうものを整える必要がある。これをインフラと呼ぶのか、最低限の国家としての仕組みというのか、それはいろいろな呼び方があると思いますけれども、それに向かって我々は努力をする必要があるだろうと思っています。

    親亡き子の問題は、私が局長をやっていましたときにも、実は自動車の事故に遭われて、遷延性障害というふうにいいます、いわゆる寝たきりになった方々がおいでになられます。

    その方々、もちろん親は高齢化していって、やがて亡くなるわけですけど、寝たきりになったまま、親はいなくなってしまう。これをどうするのかという問題、議論をしていました。

    一定の施設の中で生きていっていただく。場合によっては、うまく回復される方もおられますし、回復されない方もおられるということであります。

    問題になってくるのは、やっぱり財源です。車の事故の場合には、保険の災保険のときに出てくる財源を基に、そういう制度をつくっているわけですけれども、一般福祉ということになると、財源はやはり税金ということになってきます。税金は、やはり限られているので、先ほどの教育の話でも申し上げましたけど、選択と集中でやっていくしかない。そして、私が勤務していた役所はお金がないということで、いつも苦しんでいた役所なんですけど、そういうときには知恵を出していく必要がある。

    お金がふんだんにあれば、それを使っていけばいいんですけど、そうでない場合にはお金をかけずにどうやって対応していくのか、それは人々の絆かもしれないというふうに思います。

    冒頭、議員は、パッションの、情熱の話をされました。語源はラテン語のパッシオでありますので、苦しみという意味です。したがって、怒りというものがあって、苦しみを乗り越えようとする気持ちで情熱が出てくるというのですが、私は別の解釈をしたいと思っています。

    仏の中には明王がおいでになられます。明王は憤怒の表情をしておられます。仏のランクの話をするつもりはないですが、仏の中には、如来もおられますし、菩薩もおられます。皆さんが衆生を救う、人々を救うということではありますけれども、如来の表情、そして、菩薩の表情を見ていただければ、慈愛にあふれた表情をされておられます。

    私は、情熱の根源は怒りかもしれないとは思いますが、より望ましい、あるいは私たちが持っていくべきものは、情熱を持つその根源は慈愛、愛であり慈しみの心ではないかなというふうに思っております。

    県民の皆さんの幸せを願い、そして、県民が安全・安心に生きていけるように、そう願う心というのは、私は慈愛の心ではないか。そこから情熱を持って福祉についても、教育についても、あるいは交通についても、インフラ整備についても、防災についても対応していくということではないかと思っております。

     

    【意見要望】

    一見知事1人の人間としてのヒューマニズムを感じさせていただいたように思います。

    障がいのある子どもや大人が世に優しい光をもたらす。この言葉を私たち政治家も肝に銘じて、選択と集中、そこを見極める、そういうそれぞれの判断が必要なのかなと思わせてもいただきました。

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