3. 三重県社会的養育推進計画について (2) フォスタリング機関等による支援の必要性と課題 | 三重県議会議員 喜田健児
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3. 三重県社会的養育推進計画について (2) フォスタリング機関等による支援の必要性と課題

令和3年3月9日の一般質問の内容、三重県社会的養育推進計画についてのうち、 (2) フォスタリング機関等による支援の必要性と課題についてです。

 

    喜田健児の問題意識

     

    里親のような成功事例を増やしていくためにどうするのか対策を伺いました。

    また、生活面、資金面の支援について行政だけではなくて、民間団体等との連携も必要であるため、連携についても見解を伺いました。

    実際の質問のやり取り

    【質問】

    フォスタリング機関等による支援の必要性とその課題についてです。
    私が出会った里子、親から虐待を受けた子どもたちは、もう一度大人を信じて、里親に信頼を寄せていました。心に深い傷を負っていることが信じられないほどでした。
    この里親は、ここまで来られたのは、児童相談所のケースワーカーが中心となり、学校とつないでもらったこと、里子の状態に応じた専門的なアドバイスを的確にいただけたこと、里親としての研修で覚悟が定まったこと、里親となるための研修を積み、里親としての資質向上を自ら図ったこと、地域の人の協力によって見守りがあったこと、学校の教員によってその子にとことん寄り添う教育がなされたことなど、1人の里子のためのチームが結成されて、みんなの愛情が重なり、それが重なり合ったからだと言われました。
    このように里親となり、里子を引き受けるのはそう簡単なものではなくて、幾つもの条件をクリアしないとできないものです。ケースワーカーの仕事は、意欲と豊富な経験と知識による判断が必要で、里親の見極めという重責を背負わなければなりません。
    そこでお伺いします。
    三重県社会的養育推進計画にも示されているが、県は里親推進のために県内各地域に里親のリクルートから育成支援、マッチングまでを行うフォスタリング機関の設置を進めているとされています。
    現在、児童相談所で行われている里親支援機能を児童養護施設等の民間へ委託するもので、担当者が数年で変わってしまう行政よりも息の長い継続した支援が期待されますが、今回私が出会った里親のような成功事例を増やしていくために、県としてどのように対策を講じるのかを聞かせてください。
    また、里親を離れる18歳になる子どもから自立への不安が聞かれました。1人の大人として自立してもらうためには、少なくとも退所後2年程度は、その生活への見守りや支援が必要と考えます。
    松阪市では、進学に当たって施設を退所するものの、実の親に頼れず、実の親がいることで奨学金が借りられない子どもの進学を助けるために、クラウドファンディングで資金を集める取組が実施されています。行政だけではなくて、民間団体等とも連携して行われるのが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。このことについて、子ども・福祉部長にお聞きいたします。

    【子ども・福祉部長】

    それでは、フォスタリング機関による支援の質の確保と児童への自立支援の取組についてお答えいたします。
    まず、フォスタリング機関についてですが、里親のリクルート、研修、マッチング、技術的支援などの、いわゆるフォスタリング業務は、これまで児童相談センターと児童相談所が担ってきましたが、さらなる推進のために、地域の実情に応じて民間施設への委託を進める方針で、今年度は県内2か所でフォスタリング機関を委託しました。
    しかし、業務を民間に委託してそれで終わりではなく、フォスタリング機関の質と量の両面での充実、切れ目のない支援が県の責務だということに変わりはありません。
    質の面では、フォスタリング機関職員への研修など専門性を高める人材育成や相談、広域的調整への支援、量的な面では、フォスタリング機関が未設置の地域における受皿の開拓や受託に向けた人材確保、育成等への支援、そして、各児童相談所に専任の里親養育支援担当者を配置して、フォスタリング機関への相談、支援体制を強化しながら、令和6年度までに県内4から6か所のフォスタリング機関が設置できるよう、計画的に取り組んでまいります。
    次に、児童の自立支援についてです。
    里親家庭や児童養護施設で暮らす子どもたちは、原則、高校を卒業すると自立を求められますが、親からの支援が期待できない中、高等教育機関への低い進学率、就職後の早期離職が課題となっており、自立への支援が必要であると考えています。
    そこで県では、施設等から自立した先輩による講演会、自立後も支援の必要性が高い方への居住の場の提供、生活費の支援などを行ってきました。
    今後はさらに、自立を支援するNPOと連携した民間企業の職場体験、児童養護施設への自立支援担当職員配置への支援などに取り組んでまいります。
    今後も引き続き、里親の推進に向けた児童相談センター、児童相談所による広域的、専門的な支援体制を充実させ、民間委託機関との役割分担と協力により、地域の実情に合った切れ目のないフォスタリング機能の充実に取り組むとともに、自立を迎える児童への支援についても、NPO、民間企業と連携して充実してまいります。

    【意見】

    御答弁ありがとうございました。
    里親制度が抱える課題を解決するには、登録に至るまでのセッションの重要性と登録後の研修の充実が必須だという現場の意見があります。
    もう一つ、知的な障がいがある子どもが18歳を迎えて、里親委託が解除になるときのことです。20歳から支給される障害者年金までは2年あります。この空白の2年間は大きな社会問題です。本来であれば、家賃を年金等で賄ってグループホームに入所し、就労支援の作業所で働き、暮らしていく道がありますが、それもできません。帰る家もなく、頼る親もいない中で、この空白の2年間の問題、せっかく引き離したのに親のところに戻らないといけないという事態が起こっています。帰るところがない子どもの不安を受け止め、一刻も早い対策が必要です。
    さらに、親がいないため権利擁護の判定を受け、もしも成年後見人がつくことになれば、その報酬で生活は苦しくなります。後見報酬が高いという問題、一度決まったら変えられないという問題など、政治的な課題は山積をしております。
    今後、この2点について、継続してやり取りをさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。

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