中学校における学校部活動の地域移行改革について~コミュニティ・スクールの活用を~
令和5年2月28日の一般質問、中学校における学校部活動の地域移行改革について~コミュニティ・スクールの活用を~のについてです。
喜田健児の問題意識
部活動の地域移行について、もっと地元のコミュニティスクールとも連携する必要がある。
しかし、コミュニティスクールのコーディネーターの報酬は、年間7000円で活動費にもなっていない。こういう状態でコミュニティスクールに地域移行のお願いをするのは忍びない。処遇の改善を訴えました。
実際の質問のやり取り
【質問】
三重県スポーツの未来、(1)中学校における学校部活動の地域移行改革について~コミュニティ・スクールの活用を~です。
県はこれまでモデル校を設置して、休日の部活動の地域移行に係る実践研究を行い、部活動のあり方検討委員会で課題をあぶり出し、その対応を協議されています。
私も2年前から、地域の保護者、ジュニアスポーツ指導者、中・高の顧問の先生から声を聞き、1年7か月前に松阪モデルとして地域クラブをNPO法人の方と立ち上げて、その後、県や市の教育委員会や保健体育課、地域連携部スポーツ推進局の方々、そして、三重県中学校体育連盟の役員、競技団体の方と意見交換を重ねてきました。
私の取組は、ベースボール・マガジン社のソフトテニス・マガジン、(実物を示す)これなんですけれども、これに5ページにわたり特集していただきました。それは、全国紙なんですよ、この雑誌になぜ特集されるかなんです。
この改革が成功しないと競技人口が減り、団体そのものの存在が危うくなるからです。非常に大きな危機感を競技団体は持っています。何としても成功させなければならない、競技団体の方は皆そう思っています。
この改革の成功とは何なんでしょうか。今、未来に夢や目標を抱き、自分が選んだ部活動を地域移行してもやることができる。貧困、障がいなど、社会的に弱い立場に置かれている子どもが今と同じように部活を楽しみ、目標や夢を描き、様々な体験を通して人生を豊かに彩っていける。トップアスリートを目指している子どもは、よりレベルの高い環境に身を置いて夢に近づいていける。ジュニアスポーツの体験の在り方を見直して、個の適性に応じた競技スポーツ、芸術文化が選択できるというように、裾野を広げて生涯スポーツ、芸術文化を推進するとともに、トップアスリートを養成し、三重県の競技力向上に寄与する。これが成功ではないかと思います。
三重県スポーツ協会の村木理事長は、子どもの元気、躍動、笑顔を思い浮かべ、スポーツというツールを使って、地域の元気づくり、明るい未来づくりのために、県としてのスポーツ推進計画を早急にみんなで議論してつくるべきだと言われました。
ここで、私がたどり着いた改革案を御提案します。
土日の学校部活動を看板だけ地域部活動に変えます。そこで問題になってくるのが指導者です。学校の先生がそれを担うということではなく、そこを白紙にして、処遇、待遇などの環境を整えた上で、主体的に指導者登録する先生方を募ります。
指導者が足りないところは、競技団体や地域の方に頼るしかありません。一番の問題は、そこの調整役を誰がするのかです。指導者の確保ができたら、登録や管理、運営などの事務が発生してきます。看板だけ変えた地域部活動の中の一つの運動部や文化部が、指導者がいなくて成立しないというばらばら感が生じてはいけません。
なので、中学校単位で、学校を一つそのまま地域連携部が進める総合型地域スポーツクラブにしてしまいます。そうすることで運営母体が一つになりますので、ばらばら感はなくせると思います。
最大の問題は、この運営をどこが担うのかということになります。学校に背負わせるのは、働き方改革の側面、今の現場の人手不足という深刻な状況から考えても、そこに持っていくのはあり得ないことであり、この改革の趣旨に鑑みても本末転倒です。
私は、中学校単位で学校を核とした地域づくりをしているコミュニティ・スクール、いわゆる学校運営協議会、以後CSと呼びますが、このCSがこの事業を担うことはできないかと考えます。
スライドを見てください。(パネルを示す)学校を核とした地域づくりが躍進するチャンスだと思いませんか。どうしたら担えるのかを、CSを頑張ってみえる方々と行政が十分な協議を重ね、その条件整備ができたら担ってもらえるのではないかと私は思っています。
令和5年度、いよいよ地域移行が始まります。令和7年度までの3年間となりますが、初年度の移行に当たっての私の政策提案についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
【教育長】
中学校の学校部活動の地域移行について御答弁申し上げます。
中学校の部活動は、市町ごとに中学校の数や生徒数、部活動の種類などが様々で、受皿となり得る団体や指導者も異なる状況にあります。
このため、県教育委員会では、令和4年1月から市町との定期的な協議の場を設けて、各市町の取組状況や課題などを共有し、意見交換を重ねています。また、御指摘がありましたけれども、モデル校での実践研究における課題や解決策なども市町に共有しているところです。
各市町においても、教育委員会、スポーツ・文化担当部署、中学校や地域の関係者などから構成される協議の場を設け、地域の実情に適した方法を議論し、生徒にとって望ましいスポーツ・文化芸術活動となるよう進めていただいているところです。
地域移行の課題は様々ありますけれども、いろいろな種類の部活動の受皿や指導者をいかに確保するかというのが重要です。
このため、県教育委員会では、日本スポーツ協会が認定している指導者リストを取りまとめ、市町に提供するとともに、来年度は指導者養成研修を実施する予定です。また、スポーツ推進局の協力を得て、様々なスポーツ団体に地域移行に係る説明会を行い、協力をお願いしているところです。
中学校単位での取組とコミュニティ・スクールの活用についてですけれども、地域移行の進め方として、種目別や学校単位など、いろいろ考えられますが、学校単位で進めることは平日と同じメンバーで活動を行うことができ、平日と休日の連携や引継ぎも行いやすいため、円滑に進められる方策の一つと考えます。
また、その受皿は、総合型地域スポーツクラブや競技団体、スポーツ協会などのほか、学校と関係のある地域の団体なども想定されます。その中で、コミュニティ・スクールは、保護者や地域の方々が学校の運営に参画し、地域の特色や資源を生かした教育を行うものです。このため、コミュニティ・スクールを受皿とすることは、既に協力体制が整っている組織や人材を活用でき、新たな人材が必要な場合にも協力が得られやすいものと考えます。
今後ですけれども、今後とも市町とコミュニケーションをしっかり取って、各市町の進め方や課題を把握し、課題についてどのような対応が取れるのか、共に検討し、取り組んでまいります。
【質問】
御答弁ありがとうございました。
学校部活動を看板だけ地域部活動に変えて、その指導者の確保という問題にも令和5年度、しっかり取り組んでいただくと。その中で一番、私が課題として挙げたその運営母体をどうするのか、総合型地域スポーツクラブとしたときに学校丸々その運営母体をCSが担うという御提案に対して、前向きな答弁をいただいたのではないかと捉えさせていただきました。
一見知事、私はこのコミュニティ・スクールに大きな可能性を感じています。
松阪市のてい水小学校のコミュニティ・スクールは、令和4年度は17事業を行い、延べ250人を超える地域の方々が事業にボランティアで関わりました。これには、登下校の見守り、交通指導は含まれていません。
子どもに危害を加えるという犯罪予告があったときは、学校からの要請に応えて、子どもの安全を守るために必要な立哨場所19か所に、次の日の朝、19人の地域のおっちゃん、おばちゃんが立ちました。要請があったのは18時ですので、13時間後にはこの体制が敷けたということになります。何とコロナ禍の中で3年間、コーディネーターの方が進められたんですけれども、ボランティアの登録数は何と100人を超えたということです。
しかし、これがこの先未来において持続していくのかと問われたら、そうとは思えないという答えが返ってきました。その理由を聞くと、学校に地域ボランティアを紹介するのがCSの活動だと勘違いしている関係者が多過ぎる。特色ある学校づくりという大きなテーマを持ち、その実現のため課題解決に向かって展望を持ち、取り組むことができていないという理由ですね。
CSの運営主導権が曖昧で、ボランティア精神に頼っていることもあり、地域間格差、学校間格差、いろんな人との温度差があるということなど、課題は山積しているということです。てこ入れが必要です。
高間総務部長は、以前に、お金がないから事業ができないのではない、その事業の必要性、可能性が重要で、三重県民の未来にとって真に必要な施策であれば予算はつけると言われました。しかし、このCSの事業にはほとんど予算がついておらず、ボランティア精神で運営されています。何でこんな予算になるのか。シーリングの対象なんてあり得ない、って私は思います。
高間部長のせいではないので勘違いしないでほしいんですけれども、子どもを守り育てるという県の最重要課題、地域連携部とタッグを組んだ三重のスポーツの未来がかかったこの事業となるならば、予算の充実をさせていくべきだと思いますが、教育長、いかがでしょうか。
【教育長】
子どものための施策というのはいろいろあると思いますし、今の、例えば部活動の部分についても指導者をどうするか、あるいはコミュニティ・スクールについても地域と連携してどうするかという様々な観点があると思います。
その中で、学校の在り方とか関わり方というのも、その時々でやっぱり検討する必要があると思いますので、私は、市町ともよく連携して、子どものための手段とか方策は何がいいかというのを一番議論して、そのために必要な予算については教育委員会としてもしっかり要求していきたいと思っております。
【要望】
ありがとうございました。
CSを実質動かしているコーディネーターの報酬は、年間7000円です。研修会に参加する旅費も出ない、CSの先進的な実践例を視察に行く予算すら組めない、CS通信の印刷代、インク代など細々とした事務費は全て個人負担、そんな状況にあります。この状況で、私は学校部活動を地域部活動に変えたときの運営母体をCSにお願いしたいなんて言えません。
こんな、競技団体がひっくり返るかもしれない、三重のスポーツの未来が落ち込んでしまうかも分からない、こういう大変な状況にあるここを救っていただくことになるならば、CSというところにしっかりとした異次元の予算をつけていくべきではないかと思います。ここを一つお考えいただきたい、要望とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。