「施設から地域へ」─誰もが地域で共に生きる社会を目指して
障がいのある方々が施設ではなく、地域の中で自立した暮らしを営むこと。それは、私が目指す共生社会の姿です。国の施策としても「地域移行」が進められていますが、現場ではさまざまな課題が立ちはだかっています。本記事では、制度の現状と課題、そして三重県の取り組みを通じて、「地域で共に生きる」社会の実現に向けた課題と私の考えをまとめております。
地域移行を後押しする国の方針と現状
第8期障害福祉計画における地域移行の推進
国は、障害福祉に関する今後の中長期計画として「第8期障害福祉計画」の策定を進めており、その中核の一つが「地域移行の推進」です。障がいのある方が、施設ではなく地域社会で生活できる環境を整えることが大きな目的です。
数字が示す地域移行の現状と課題
しかしながら、実態を見ると、地域移行に取り組んでいる施設はわずか18%にとどまっており、36%の施設は未だに取り組んでいないというデータがあります。制度面での方向性は出ていても、実践が伴っていないのが現状です。
同一敷地内での複合施設設置に立ちはだかる壁
特に課題として指摘されているのが、グループホームと日中活動サービス事業所を同一敷地内に設置する際の規制の厳しさです。両者が隣接していることで利用者の利便性が向上し、地域での安定的な生活を支えることが可能となりますが、現行制度では柔軟な設置が難しいのです。
三重県の現状と課題
三重県においても同様に、グループホームと日中活動事業所を同一敷地に設けるには条件が厳しく、地域移行が進みにくい現実があります。都市部に比べ、土地や支援人材の確保が難しい地方においては、より柔軟な制度が求められています。
グループホームとの意見交換を通じて
こうした課題を解決するため、三重県では地域のグループホーム運営者と意見交換を重ね、現場の実態や要望を丁寧に吸い上げる取り組みを行っています。これにより、国に対して具体的な提言や制度改善の働きかけを進めることを目指しています。
「施設から地域へ」という方針を現実のものとするためには、制度設計の柔軟さと地域現場の声の反映が不可欠です。グループホームと日中活動の一体的な支援体制を実現することで、障がいのある方が地域の一員として暮らす土台が整います。
私たちは、誰もが自然にその人らしく暮らせる社会を目指し、今こそ次の一歩を踏み出す必要があります。
私はこれまでも議会でこの問題について取り上げております。