多様な財源の確保について、①チームMIEでクラウドファンディングについて
令和6年第2回定例会(12月2日)の一般質問の内容です。
多様な財源の確保について、①チームMIEでクラウドファンディングについて、です。
喜田健児の問題意識
三重県の財源確保のために、10月に議会事務局を通じて、他の自治体の取り組み状況の調査をいたしました。
教育の財源確保のためにクラウドファンディングを実施している自治体が多く、三重県でもクラウドファンディングをもっと積極的に活用して、官民連携で創意工夫あふれる子ども・子育て・教育の事業などを展開してほしいという提案をいたしました。
総務部長からも、令和7年度予算要求に当たっては、クラウドファンディングの積極的な活用に知恵を絞るように周知をしていくという答弁がありました。
また、知事からも教育の現場でも使えるようなものがないかとお願いしていると前向きな発言がありました。
実際の質問のやり取り
【質問】
(2)多様な財源の確保について、①チームMIEでクラウドファンディングをに入ります。
三重県政の新たな財源を確保するために、今年10月に議会事務局企画法務課調査班の小林さんの力を借りて、財源確保の取組状況に関する全国地方自治体調査を行いました。その項目は1、基金、2、ネーミングライツ、3、広告収入、4、クラウドファンディング、5、未利用土地・建物の活用の五つです。
全国の地方自治体から報告をいただいた調査結果を見て注目したのは、クラウドファンディングと基金運用です。(パネルを示す)このスライドを見てください。令和5年度にクラウドファンディングを実施した都道府県は19都道府県に上ります。また、過去3年間に教育に関するクラウドファンディングを実施した都道府県は15都道府県と、教育の財源確保のためにクラウドファンディングを活用している都道府県が多いということが分かりました。
その具体的な事例を三つ紹介させていただきます。
(パネルを示す)このスライドを見てください。これは長野県の事例です。左のクラウドファンディングは、長野県内の県立学校、これは高校、専修学校、大学を含みますが、県立学校、私立学校、信州やまほいく認定園が登録されており、支援者は自分が応援したい学校を選んでふるさと納税の仕組みを使って寄附を行うというもので、終了まで残り128日ありますが、既に830万円の寄附金が集まっています。
右のクラウドファンディングは、長野県が民間団体や保護者と連携して一定の基準をつくり、認証を行った信州型フリースクールを応援するためのクラウドファンディングです。信州型フリースクールは、現在、長野県に30施設あり、学び支援型が23か所、居場所支援型が7か所認定されています。この30施設の運営主体は、一般社団法人、NPO法人、株式会社、任意団体など様々な形態のものがあります。開所時間や対象もバラバラですが、不登校に関して研究をしている大学の研究者がファシリテーターとなり、ここからが注目なんですけれども、行政やフリースクールの運営者だけでなく、フリースクールに通う保護者や子どもたち、その利用者の目線と関係者ではない一般の人の意見も入った形で認証の基準が決められたそうです。本年4月に認証制度が始まったばかりなのですが、早々、財政支援のためのクラウドファンディングが始まっています。4月に認証制度が始まって財源確保に動いているということです。クラウンドファンディングで集めたお金を財源として、フリースクールの運営の補助を行っていく仕組みのようです。
次に、スライドはないんですが、山梨県の事例を紹介します。これは県立日川高校のグラウンド整備事業のために、県と県立高校と同窓会の3者がタイアップし、ふるさと納税の仕組みを活用してグラウンドの人工芝化のためのクラウドファンディングです。こちらには何と目標金額1億3000万円に対して達成率70%を今、超えています。9187万9000円の支援金が集まっております。さとふるクラウドファンディング、企業版ふるさと納税、そして県独自のウェブサイトで納付書による寄附、あの手この手で生徒たちからの要望の実現に取り組んでいる事例と言えます。
最後、三つ目です。(パネルを示す)最後の事例は徳島県の山村地域の事例です。こちらは廃止になった郵便局を活用して、親子が集まれるカフェをつくりたいという民間女性の夢をかなえるためのクラウドファンディング。創業に必要な経費600万円のうち、200万円をふるさと納税のクラウドファンディングで集め、残りは自己資金を活用するというものです。
県が直接助成することは難しいが、地域の子育て支援にとって必要な事業に県がお墨付きを与えることにより、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングへの挑戦権を与えていると言えます。この事例は民設民営のカフェの開業を県がサポートするという、何と画期的な取組ではないでしょうか。
(パネルを示す)これまでお話をしましたクラウドファンディングの形式を一覧にしてみました。スライドを御注目ください。
長野県は全国に先駆けて県独自のふるさと納税を活用したクラウドファンディングサイトを立ち上げ、ふるさと納税を取りまとめるサイトを活用せず、県独自のサイトで様々な事業のクラウドファンディングを実施しています。その名もガチなが。ガチで長野をよくしようという意味だそうで、原則、寄附者に返礼品は送られません。このサイトを立ち上げてからこれまでに1億5171万3117円もの寄附が寄せられており、県が独自のサイトを運営しているため、事業者に仲介手数料を取られることがなく、県の歳入に大きく貢献していると考えられます。
山梨県は、さとふるというふるさと納税仲介サイトのクラウドファンディングバージョンとふるさと納税企業版、さらに県のウェブサイトには寄附申込書がダウンロードできるようになっており、直接窓口で寄附できるという仕組みを併用することで、一見不可能かと思える1億3000万円という大きな目標にゴールが見えるところまで近づいてきております。
徳島県の事例は、山間部の行政が手の届かないところに住む民間の事業者が提案した事業にお墨付きを与える形で、ふるさとチョイスGCF(ガバメントクラウドファンディング)を活用した事例です。
地域の事情に合った事業をオンタイムで提案できるのは、民間事業者の得意なところだと思います。
また、提案した事業を責任を持って遂行するのも提案者ということで、行政がリスクを背負うことなく、公益的な事業を後押しすることができるという面で、かなり優れた手法であるというふうに思います。
三つの県の事例を紹介しましたが、他の県のクラウドファンディングは、子どもの居場所づくり、子ども食堂、ヤングケアラー、ゲームやインターネット依存の対策、子どもが主役の地元活動など、そのほとんどが子どもや教育に関する様々な事業に対しての支援を求めるクラウドファンディングになっておりました。
三重県で令和6年度にクラウドファンディングを活用している事業は、飼い主のいない猫の不妊・去勢手術と子猫の育成サポート、これは非常に大事だと思いますけれども、それと三重県立美術館 コレクションを活用保存し、次世代にの2本です。ぜひ三重県の予算においてもクラウドファンディングをもっと積極的に活用して、官民連携で創意工夫あふれる子ども・子育て・教育の事業などを展開していただきたいと思いますが、総務部長の御見解をお聞かせください。
【総務部長答弁】
クラウドファンディングの活用について御質問をいただきました。
本県でも財政状況が決して楽観できる状況ではないという中で、多様な財源の確保という一環の中で、クラウドファンディングという手法についても非常に大事なものだというふうに考えておりまして、本県では、平成30年度に導入いたしまして、県のホームページで寄附の募集をこれまで行ってきたところでございます。
これまで県民の皆さんに応援していただきやすい事業を中心に、31事業で3178万円の寄附をいただいてきたところでございますが、一方で議員のほうからも先ほど御指摘いただきました令和6年度は2事業ということで、活用事業数が少ないというのが課題でもあります。主な広報手段が三重県のホームページのみということもあって、潜在的な寄附者に十分に周知できておらず、事業費に必要な規模の寄附額を確保できていないことが活用の幅が広がらない原因の一つであるというふうに推測をしているところでございます。
一方で、最近の全国の状況を先ほど議員のほうから御紹介いただきましたけれども、寄附者が自治体の応援したい事業に寄附をしながら、ふるさと納税における寄附金控除でありますとか返礼品を受けられるような、いわばふるさと納税型のクラウドファンディングというようなものが5年前に比べて83%ほど増えているという新聞報道もございました。
こうした状況も踏まえまして、本年10月に本県におきましてもみえの食セレクションなどの新たな返礼品を充実したふるさと納税を開始したところなんですけれども、その返礼品が活用できるふるさと納税型のクラウドファンディングを来年度から開始できるよう、現在準備をしておるところでございます。
また、各部局に対しては、こうしたことも踏まえて、令和7年度予算要求に当たっては、クラウドファンディングの積極的な活用に知恵を絞るように周知もさせていただいているところでございます。
こうしたクラウドファンディングを通じまして、県内外の多くの方々に本県の取組を応援していただけるように取り組みまして、多様な財源の確保に今後も努めていきたいというふうに考えております。
【質問】
総務部長、ありがとうございました。
不登校やいじめ、子どもの自殺など子どもを取り巻く課題は山積をしています。そういうふうな中で財源確保の非常に前向きな御答弁をいただいた。非常にうれしく思います。
子どものことだから官民力を合わせてというよりも、私は民の子どもを思う力を官が後押しして、手の届かなかった課題の財源を確保していく、この新たな手法が全国で展開されている教育に関するクラウドファンディングです。
教育長、私にはできるイメージ、成功のイメージしか思い浮かびません。なぜなら、この質問に対して多くの保護者の方が注目をいただいております。傍聴席を見ていただいてもお分かりですが、この質問のために、この答弁を聞くために来てもらっているという方も見えます。ぜひ教育委員会のほうでも教育長、前向きに御検討をお願いしたいと思います。
首を縦に振っていただきましたので、教育警察常任委員会の委員間討議でも議論していければと思います。委員の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
最後に、県がやるのですから公共性、公平・公正性の担保がなされて、経常的な予算が必要となるものではなくて、スタートアップなど単発系のものが望ましいと私は思います。
なおかつ、興味を持ってもらう人をどれだけ増やすことができるのか、PR、情報発信が肝となりますので、民の力は必要不可欠です。成功すれば、三重県自体のPRともなり、関係人口の増加にもつながる可能性を秘めていることを申し上げて、この質問を終わりたいと思うんですけれども、知事、感想を聞かせていただけますか。
【一見知事答弁】
行政の財源が少なくなっとる中ですので、民の力を使う、そのとおりだと思います。
実は、私も知事になりましてようやく今、実現しかけているんですけど、ふるさと納税、三重県で収支で言うと6億円ぐらいマイナスなんです。これでええんかという話を総務部にお話をしました。そうすると、実はそのふるさと納税、返礼品の問題というか課題があって、これ市とか町が出しておられる返礼品は、県でそれを出しますと奪ってしまうことになると。それは長男が次男、三男と言いませんけど、市や町は財源はやっぱり県よりも少ないところでふるさと納税で得ているわけですが、それをとるのはあかんということでどうしましょうかと実は思考停止に陥っていたんです。それで私から、そしたら東京でふるさと納税をしとる人が多いので、例えば三重テラスのレストランのメニューをふるさと納税の対象にしたらどうだと、これ知事としてのアイデアですけどと。
それから、先ほど総務部長が答えましたみえの食セレクション。これも県が選んどるんですけど、市や町がふるさと納税に出しとるものもある。だから、市や町に聞いてみて、これはうちは使いませんというものについては、ふるさと納税の対象にしたらええやないかということで、これも知事のアイデアですがということで総務部に伝えました。それが今、実現しようとしています。
次は、恐らく部長のアイデア、その次は課長のアイデア、いろんなアイデアが出てきて、それで三重県のふるさと納税額が今、マイナス6億円というのは縮んでいったらええなと、こう思っとるわけです。知事1人のアイデアで三重県の財政が何とかなるようなものではないので。
今日、喜田議員のお話を聞いとってすごくありがたいなと思います。長野県の話は前にちょっと聞いていましたけど、具体的なお話を調べていただいて、フリースクールとひもづけをしたクラウドファンディング、これも大事かなと思います。私は以前、思っていたのは、県の税収が少ないので何とかせなあかんと思っていましたけど、使途も明らかにして多くのお金を集めるということは大事だと思います。まさに県議会の担っておられる機能を発揮していただいたという気がしています。御指示をいただいて、指摘をいただいて、我々としてもそれを受けて動いていきたいと。子どものことや、あるいは困っておられる方々に対しては、クラウドファンディングも集まりやすいと思いますので。
先ほど教育長も力強くうなずいておりましたので、教育の現場でも使えるようなものがないかというのは、これは実は総務部で各部局に話をしていますということを部長がお答え申し上げましたけど、それも実は私からお願いをしていまして、全員の知恵でやっていこうと。県庁職員の知恵では限られておりますので、県民の皆さんのお知恵もいただき、そして県議会の皆さんのお知恵もいただき、三重県が多くの財源を集められて、財源を集めることが課題ではないです、それを必要なところに使っていくということですので、これからも御指摘を頂戴できればと思っております。
【意見】
知事、ただただうれしいです。ありがとうございます。
知事が言っていただいたように、教育委員会のほうで抱え込んでいただくのではなく、官民連携、民の子どもを思う力を十分フル活用していただいて、ぜひともいいクラウドファンディングを一緒につくり上げたいと思いますので、教育長、よろしくお願いします。
ありがとうございました。