グループホーム設置の規制緩和について
令和6年第2回定例会(12月2日)の一般質問の内容です。
1年前の令和5年の12月の議会でも取り上げた内容です。
喜田健児の問題意識
生活事業所の同一敷地内へのグループホームの設置について、現在の設置基準の見直しについて提案いたしました。
県としても、同一敷地内での設置を認める内容に見直していくという前向きな答弁がありました。
実際の質問のやり取り
【質問】
(1)親なきあと、待機障がい者の問題について、①グループホーム設置の規制の緩和に入ります。
国の地域移行の政策が進められる中、障害者支援施設への入所は困難になっています。昨年度の一般質問の答弁では、県内施設入所への待機障がい者は346人、この現状の中で支援施設に代わるものとしてグループホーム、共同生活援助の整備が進められていますが、三重県において障がいのある方が通所している生活支援事業所、A型、B型事業所の建物がある同一敷地内に住居であるグループホームを建設することができないという三重県独自の基準が整備の足かせとなっています。
その基準に対して、生活支援事業所とグループホームをやっておられる経営者の方からこう聞きました。うちに通所している子の親からグループホームの設置の要望を聞いているが、土地を探して購入し建物を建てるには1億円もの費用がかかり、採算は見込めない。でもね、喜田さん、親御さんの困った顔を見て、その思いを聞いていたら、何とかしてやりたいという気持ちになるんですよ。借金する覚悟を決めて借入れの準備をしました。土地を探し見つけて、近隣の方々に集まってもらって説明会を開いたら、差別、偏見の心ない言葉を浴びせられました。それでも理解を求めて頭をただただ下げてお願いをしたんです。何とか一つグループホームの設置ができて、約20人を現在受け入れて生活をしてもらっています。行政からの報酬ではやはり運営は厳しいです。利用者の負担が増えてしまう中で、昨今の物価高がそれに拍車をかけています。このように福祉事業団体の人たちは、もっとグループホームが必要であるのは分かっておりますが、設立のハードルに立ち向かうことはそんなに簡単じゃない、難しい。せめて同一敷地内の設置を認めてくれたら建物を建てるだけですから、そこに向かえるのですが、そのような声を聞いております。
子ども・福祉部長、この基準の見直しをするべきだと思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
【子ども・福祉部長答弁】
それでは、グループホーム設置の基準の見直しについてお答えいたします。
県では、障害者自立支援法、現在の障害者総合支援法ですが、これが施行された平成18年度以降、障がい者の地域生活への移行が進むように、グループホームは通所施設の同一敷地内には設置しないとする方針を定めまして、障がい者施策を進めてまいりました。
これはグループホームを通所施設の同一敷地内に設置することで、実質的には入所施設と同様の状態となってしまい、法の理念である障がい者の日中と夜間の生活の場の分離ですとか、入所施設から地域生活への移行の推進といった考え方と基本的には一致しないものというふうに考えてきたためでございます。
一方で、平成30年度の障害福祉サービス等報酬改定におきまして、親亡き後の地域生活の受皿としまして、重度障がい者を対象に日中と夜間を同じ場所で過ごすことができる日中サービス支援型グループホームの設置が可能となりました。
また、県内では、通所施設を利用していた重度障がい者の方で、親亡き後を見据え、グループホームへの入居をしたいという意向のあった方が通所施設の同一敷地内にグループホームの設置ができないということで、結果的に住み慣れた地域を離れざるを得なくなったといった事例がございました。方針の見直しを望む声が市町を通じて県にも寄せられているところでございます。
このため、県では、昨年度、令和5年度から他県の状況を調査するとともに、障がい者にとってどのような生活環境が望ましいのかなど、様々な視点から障がい福祉関係者等の意見も聞きながら、方針の改正についての検討を進めているところでございます。
現時点では、その同一敷地内であっても昼夜分離の観点から通所施設とグループホームのエリアを明確に分けることや、本人のサービス選択の自由が尊重されるように、併設事業所の利用を強制しないことなどの一定の条件の下で、同一敷地内での設置を認める内容に見直していきたいというふうに考えております。
県としましては、今年度中に結論が出せるように、引き続き関係者とともに検討を重ねてまいります。
【質問】
御答弁ありがとうございました。
条件付ではありますが、三重県独自の基準を撤廃していただけるという力強い御答弁であると受け止めさせていただいてよろしいでしょうか。
何か反論がありそうですけれども、そんなことないですね。
ありがとうございます。市町をはじめとする様々な団体からの要望を受けての判断、みんなの願いを聞いていただいた、そういうことになろうかと思います。本当にありがとうございます。
自閉症や強度行動障がいに対して一番大切なことは、一人ひとりの特性を理解して、一人ひとりに合った落ち着いた生活と作業の環境をつくることです。社会や外部との接点は、事業所において地域住民との交流の機会を設けて、そういう交流を展開してもらっています。今回基準が撤廃されることになれば、親亡き後や待機障がい者の切実な問題を解決する方向に一歩前進、進めることになると思います。
また、生活支援事業所の同一敷地内にグループホームの設置が進むことで、雇用が生まれて経済の好循環が生まれます。
ただ、課題は山積しています。現在のグループホームは、大半は軽度・中度の人を対象とし、重度の人が利用できるグループホームは圧倒的に不足しており、その実態は市町によって異なります。その辺りを県は詳細に把握すると同時に、グループホームにおける事業運営の難しさを解消していくために、国への要望を強化していくことを強く要望させていただきます。このままでは障がいの重い人たちの生活の場がなくなるのではないかと、障がいのある人の親亡き後を考える松阪市や伊勢市の市民団体の人たちは危惧をしております。
最後に、今後このことを引き続き重要案件として現場の声に耳を傾けていただき、意見交換しながら共に進めていくことをお願いしまして、この質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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